研究課題
多施設で過去に臨床使用された強度変調放射線治療計画561症例を基に機械学習を行い、新規症例において患者体内の各構造物に照射される線量を予測するモデルを作成し、治療計画の自動作成を行なった。Broad model、single institution modelおよびclinical planで、治療標的に対する照射線量は同等であり、broad modelの治療計画で治療標的に照射される放射線量が急峻に低減されていることが示された。DVHの結果においてもbroad modelによって作成された治療計画が他の方法で作成された治療計画の結果と同等であることが示された。施設A、B、Cでは直腸に対するV80%はbroad modelで有意な低下がみられた。また、施設BおよびEにおいてbroad modelによって直腸に照射される平均線量は、他の2つの治療計画の平均線量と比較して有意な低下がみられた。膀胱に対しても、broad modelによってV80%および平均線量の比較において統計的に有意な低下、もしくは同等の結果であることが示された。broad modelを用いることによって直腸および膀胱に照射される線量には首尾一貫性が高まり、施設間における計画の品質の標準化が可能であることが示唆された。強度変調放射線治療を用いることによって病変部周囲の放射線量をより低減できるようになるため放射線治療の適応症例が拡大されている一方で、治療計画作成には計画者の知識や経験に依存するところが大きい。本研究によって人が介在しない治療計画作成が可能になれば医療の均てん化につながる。また臨床試験に用いた場合には一定水準の放射線治療を実施された患者の臨床成績を基に新しい治療法の有効性を比較できる。
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