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2020 年度 実施状況報告書

頭頸部がんに対する新たな治療法としてのガドリニウム中性子捕捉療法

研究課題

研究課題/領域番号 20K08094
研究機関神戸学院大学

研究代表者

安藤 徹  神戸学院大学, 薬学部, 助教 (50639226)

研究分担者 市川 秀喜  神戸学院大学, 薬学部, 教授 (00248105)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードがん中性子捕捉療法 / ガドリニウム / 頭頸部がん / キトサン / ナノ粒子
研究実績の概要

がん中性子捕捉療法(NCT)はホウ素(10B)やガドリニウム(157Gd)などの放射線増感元素と熱中性子の中性子捕捉反応(Neutron Capture Reaction,NCR)の結果として生じる放射線による細胞障害作用を利用したがん治療法である.このNCTでは放射線増感元素を腫瘍組織内に均一かつ所定量以上を集積させることが治療成功に重要となる.
本研究では,Bが均一に分布しづらいと考えられる巨大腫瘍に対してGdを放射線増感元素としたNCTの適応を考え,巨大腫瘍へ成長しやすく,臨床においてBの分布の不均一さが報告されている頭頸部腫瘍に対するGd-NCTの適応を検討する.また,これまでに申請者らが開発してきたGd含有ナノキャリアーの性質が抗腫瘍効果に与える影響を評価し,Gdを含むキトサンナノ粒子(Gd-nanoCP)の持つ性質のコントロールがGdを用いたNCTの効果増強に有用かを検討した.
昨年度の検討で,Gd-nanoCPの粒子径に応じた細胞取込評価ならびに熱中性子照射後の抗腫瘍効果を評価したところ,粒子径の減少によって,単位重量当たりの粒子数が増加し,細胞取込は濃度依存的に増大し,キトサンのもつ表面電荷が細胞付着に寄与していることが示された.
腫瘍体積の異なる担がん動物を用いた抗腫瘍効果の評価では,Gd-nanoCP投与後に熱中性子照射によるGdNCTを行ったところ,巨大腫瘍を想定した腫瘍体積の大きいモデルにおいて,より強力な抗腫瘍効果が見られることが示されたが,その効果はBを用いたBNCTと比べて十分でなく,モデルも頭頚部への腫瘍の移植ができていないため,その点を踏まえて次年度の検討を行いたい.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初予定していた粒子径を変化させたGd-nanoCPの調製を終え,2年目以降に予定していた細胞・動物を用いて検討することができた.
また,同じく1年目に予定していた表面電荷を変化させる検討はおおむね順調に検討が進行している.

今後の研究の推進方策

2年目に予定している頭頚部腫瘍モデルについて,頭頚部に移植したモデルの検討が必要であると考えられる.また,モデルを確立に合わせて,粒子径・表面電荷の異なるGd-nanoCPを用いた検討を行っていきたい.

次年度使用額が生じた理由

当初発表予定であった学会の延期,オンライン化,紙面開催によって,参加費と旅費に変更が生じたため.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Influence of the particle size of gadolinium-loaded chitosan nanoparticles on their tumor-killing effect in neutron capture therapy in vitro2020

    • 著者名/発表者名
      T. Andoh, Y. Nakatani, M. Suzuki, Y. Sakurai, T. Fujimoto, H. Ichikawa
    • 雑誌名

      Appl Radiat Isot.

      巻: 164 ページ: 109270

    • DOI

      10.1016/j.apradiso.2020.109270

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 悪性腫瘍に対する中性子捕捉療法のためのガドリニウム製剤の創製2020

    • 著者名/発表者名
      市川 秀喜, 安藤 徹
    • 雑誌名

      ファルマシア

      巻: 56(5) ページ: 396-400

    • DOI

      10.14894/faruawpsj.56.5_396

  • [雑誌論文] 三種の明細胞肉腫細胞株を用いたホウ素中性子捕捉療法の前臨床研究2020

    • 著者名/発表者名
      安藤 徹
    • 雑誌名

      Drug Delivery System

      巻: 35(3) ページ: 262-263

    • DOI

      10.2745/dds.35.262

  • [雑誌論文] Nanoparticulate formulations for neutron capture therapy: Evaluation of anti-tumor effect after intratumor injection2020

    • 著者名/発表者名
      T. Andoh, T. Fujimoto, M. Suzuki, T. Takata, Y. Sakurai, H. Ichikawa
    • 雑誌名

      KURRI Progress Report 2019

      巻: 1 ページ: 100

  • [学会発表] 同所性腫瘍移植モデルを用いたBNCTの前臨床研究2020

    • 著者名/発表者名
      安藤 徹
    • 学会等名
      令和2年度 京都大学複合原子力科学研究所 専門研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] がん中性子捕捉療法用Gd含有キトサンナノ粒子の開発:異なる粒子径を持つナノ粒子を用いた抗腫瘍効果の評価2020

    • 著者名/発表者名
      安藤 徹,鈴木 実,櫻井良憲,高田卓志,藤本卓也,市川秀喜
    • 学会等名
      粉体工学会2020年度春期研究発表会
  • [学会発表] 明細胞肉腫(CCS)に対するホウ素中性子捕捉療法:CCSのLAT1の発現がp-borono-L-phenylalanineの腫瘍集積に与える影響2020

    • 著者名/発表者名
      安藤 徹,藤本卓也,和田 恵二郎,須藤 保,市川秀喜
    • 学会等名
      日本薬学会 第141年会

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公開日: 2021-12-27  

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