研究実績の概要 |
研究での実際のゲル線量計の利用方法は必要な二次元断面を1断面任意に選択しているのが実際である。この任意面の選択は長所であるが、ゲル線量計の潜在能力を最大限まで生かせていない上、様々な領域の線量分布の差を検証することができない。本研究では呼吸移動を伴う腫瘍への強度変調放射線治療の患者毎の治療精度を治療前に明確化するため、実際の臨床および研究でゲル線量計を「三次元測定器」 として利用することを実現することを目的とし、研究開発を行う。そのために深層学習を応用して、短時間撮像のMR画像から長時間で撮影したMR画像と同レベルの画像を生成する技術を開発・実装する。 2020年度は深層学習における高解像度化やノイズ低減(Deep learning - High resolution and Noise reduction, DL-HRNR)の開発と実装を行った。 2021年度はDL-HRNRの学習用のデータ取得であり、研究用MRの利用について困難さがあるが複数のデータを取得できた。2022年度はこれらのデータをプログラムに入力し、DL-HRNRによる高解像化とノイズ低減を実施した。その結果、データパターンが少ないこと、ノイズ低減を測った実際のMR画像のSNが大幅な向上が図れなかったことから、期待した効果は得られなかった。以上から、DL-HRNR技術の原理および実装は完了したが、優良なデータ収集が得られなかったこと、得ることが難しいことがわかった。今後は、MR撮影のシーケンスを高速シーケンスおよび低雑音シーケンスによって教師データを得ること、また様々な線量分布パターンのゲル線量計のMR撮像を実施し、教師データをより多く取得する必要があると考える。
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