研究課題
限局性肺癌に対する体幹部定位照射におけるdual-energy CTとFDG-PET/CTの治療前評価に拡散係数を加えることの意義、および再発高リスク群の経過観察における拡散強調画像の意義と有用性を解明することを目的に、最終年度では総括を行った。最終年度末までにdual-energy CTを行った症例数は311例、FDG-PET/CTを行った症例数は342例、MRIを行った症例数は13例であった。腫瘍内低酸素の指標となるヨード密度に関する因子は腫瘍径、組織型、水密度、SUVmaxであり、腫瘍径3cm以上、扁平上皮癌、水密度低値、SUVmax高値のヨード密度が有意に低かった。腫瘍の水分含有量の指標となる水密度に関する因子は、腫瘍径、腫瘍の性状、性別、組織型、喫煙、SUVmaxであり、腫瘍径3cm以上、充実性腫瘍、女性、扁平上皮癌、喫煙者、SUVmax高値の水密度は有意に高かった。腫瘍の悪性度の指標となるSUVmaxに関する因子は、 腫瘍径、性別、組織型、呼吸機能であり、腫瘍径3cm以上、男性、扁平上皮癌、閉塞性肺疾患のSUVmaxが有意に高かった。一方、MRIによる拡散強調画像高信号を示す因子は腫瘍径3cm以上と充実性腫瘍であり、従来の治療前評価にMRIを追加する意義は乏しかった。各因子の相関関係については、ヨード密度とSUVmax、ヨード密度と水密度に弱い負の相関、SUVmaxと水密度に中等度の正の相関を認めた。311例の最終解析では、観察期間中央値43.2か月で3年全生存率および局所制御率は、各々77.5%、89.6%であった。全生存率および局所制御率に関与する有意な因子は単変量解析ではヨード密度、水密度、組織型、SUVmaxであり、ヨード密度低値、水密度高値、扁平上皮癌、SUVmax高値が予後不良であった。多変量解析では、ヨード密度のみが有意な因子として同定された。
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