研究課題/領域番号 |
20K08107
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
出水 祐介 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (50452496)
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研究分担者 |
福本 巧 神戸大学, 医学研究科, 教授 (70379402)
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (30346267)
山下 智弘 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (20567086)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小児・AYA世代 / 骨軟部肉腫 / 陽子線治療 / 吸収性スペーサー / 稀少がん |
研究実績の概要 |
本研究におけるキーデバイスである吸収性スペーサーは、2019年12月にスペーサー留置術と共に保険適用となり、臨床現場で本格的に使われるようになった。 2022年4月末までに全国で累計155例に留置され、うち本研究の対象となる小児骨軟部肉腫症例は13例(8%)であった。尚、AYA世代骨軟部肉腫症例については、メーカーが症例の年齢内訳を公表していないため不明であるが、成人骨軟部肉腫症例は73例(47%)と約半数を占めており、AYA世代もそれなりにいると思われる。神戸陽子線センターにおいても17例に留置され、全国トップレベルの症例数であるが、うち15例が骨軟部肉腫症例、その中の4例が小児症例であった。 ①吸収性スペーサーの吸収過程のモデル化については、実際に多数の実臨床例を経験するとかなりバリエーションがあることが分かり、治験データ(5例)のみではよいモデルの作成は困難であると判断し、実臨床例も追加して作業をしている。PGA縫合糸が加水分解される際に発生するガス(二酸化炭素)のパターンについて解析し、学会発表を行ったほか、研究代表者(出水)および研究分担者(福本・佐々木)が中心となって2020年に立ち上げたスペーサー治療研究会にてメインテーマとして取り上げ、検討した。②過去の患者データを用いた陽子線治療計画シミュレーションに関しては、照射期間が長いユーイング肉腫において、スペーサーが吸収される前にboost照射(本来は照射期間の最後に行われる)を行うboost照射先行法を考案し、学会発表を行った。③他施設における吸収性スペーサー臨床症例データ収集については、現時点で吸収性スペーサー併用粒子線治療の経験がある全ての施設がスペーサー治療研究会に参加しているため、本研究会を通じて他施設のデータ収集が可能であると考えているが、新型コロナウイルス感染症の流行により他施設の訪問はできていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者・研究分担者全員が医療従事者であり、新型コロナウイルス感染症流行の影響を少なからず受けている。 また、吸収性スペーサーの吸収過程のモデル化については、実際に多数の実臨床例を経験するとかなりバリエーションがあることが分かり、研究計画書に記載した治験のデータ(5例)のみではよいモデルの作成は困難であると判断し、実臨床例も追加して作業をしている。 新型コロナウイルス感染症流行による行動制限のため、他施設との交流が滞っており、他施設における吸収性スペーサー臨床症例データの収集があまり進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
可能な限り、研究計画書に沿って進めていきたいが、よりよい研究結果を得るためには、研究期間の延長も視野に入れる必要があると考えている。 吸収性スペーサーの吸収過程のモデル化については、実際に多数の実臨床例を経験するとかなりバリエーションがあることが分かり、研究計画書に記載した治験のデータ(5例)のみではよいモデルの作成は困難であると判断し、実臨床例も追加して作業をしている。 新型コロナウイルス感染症流行による行動制限が緩和されてきており、滞っていた他施設との交流ができるようになる可能性があり、他施設における吸収性スペーサー臨床症例データの収集を進めていきたい。 その後、実際の対象患者への適用を行いたいが、現在の進捗状況からは研究期間の延長が必要かもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行の影響で研究計画がやや遅れており、当該年度に購入予定だった物品が未購入であったり、使用予定であった国内・外国旅費が未使用であったりするため、次年度に持ち越すことになった。 研究が進んでくれば必要になる物品であり、その購入に使う。また、新型コロナウイルス感染症が落ち着けば、他施設の訪問や国内・外国の学会への現地参加もする予定なので、その旅費に使う。
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