研究課題/領域番号 |
20K08108
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岡本 欣晃 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (20362791)
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研究分担者 |
赤坂 浩亮 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (20707161)
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (30346267)
宮脇 大輔 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (30546502)
妹尾 悟史 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (40801105)
川口 弘毅 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60781820)
窪田 光 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60824208)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放射線感受性 / PDXマウス / 放射線応答 / 免疫放射線療法 |
研究実績の概要 |
近年、放射線療法と免疫療法はその併用効果が高いことが報告され、頭頸部がんや肺がん等の多種類の悪性腫瘍で注目されている。現状では腫瘍抗原の一つであるPD-L1発現の有無を免疫染色で確認し治療効果を推測しているが、ヒトがん免疫応答を正確に再現する動物実験モデルはない。また抗PD-L1抗体に不応性の場合もしばしば経験され、特にそのような症例でどのような分子により腫瘍免疫が形成されているかの探索が重要である。我々はこれまで、前臨床試験モデルとして、患者由来のがん組織をマウスで増殖させるPatient-Derived Xenograftモデル(PDXモデル)を作製に成功してきた。このPDX腫瘍モデルは、患者由来の新鮮な腫瘍組織を用いているため、従来のがん細胞株をヌードマウスに移植した動物モデルでとは全く異なる特徴を持ち、より実臨床に近い重要な情報を検討することができる。本研究では、がん症例からの腫瘍組織を採取し、放射線感受性と、ヒトがん免疫応答を再現できる新規動物実験モデルを開発し、免疫応答に関連する新たな腫瘍抗原の探索など新規の放線免疫療法の開発に取り組む。このモデルは、患者個別の放射線感受性、ヒトがん免疫応答の研究、放射線療法との併用療法のトランスレーショナルリサーチに有用である。がんの前臨床試験やトランスレーショナルリサーチに使用する動物実験モデルとして、患者のがん組織を超免疫不全マウス(NOD/SID/IL2rgKOマウス:NSGマウス)に直接移植して継代培養する「患者由来がん異種移植マウスモデル(Patient-Derived Xenograft(PDX) mouse model)」が、広く活用されている。我々の 研究室ではPDXモデルの着手として、乳がんや大腸がん等の様々ながん種によるPDXモデルを精力的に作製してきた
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、PDAモデルの樹立に着手しTripple negativeの乳がん症例の検体を用いて、手技の確立や継代の方法を検討してきた。PDAモデルの樹立作成の鍵は、その材料となる症例の腫瘍の性質に大きく依存していることを体得した。現時点では同一患者からの末梢血の採取は困難であるが、今後は検討を重ねていく予定である。また、PDXマウスの用いた免疫放射線療法を検討する前の予備的な検討として、マウス腫瘍モデル(BF10細胞、C57Bl6マウス)を用いた免疫放射線療法の腫瘍細胞と免疫細胞の応答反応を詳細に検討してきた。その結果二次リンパ組織の一つである。脾臓において、移動性の樹状細胞と脾臓に存在する樹状細胞のCD8陽性細胞との関係を確認でき、免疫放射線療法における二次リンパ組織の重要性を発見することができた。今後はさらに放射線照射による応答の変化や免疫放射線療法の賦活化法の検討を進めてきた。その結果新知見を多く得ており、さらに検討を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
PDXマウスの樹立に関してはある程度の目安を得ることができたが、同一患者からの腫瘍と末梢血輸入に関しては、時間的なずれが生じることを認識した。そのためには末梢血の貯蔵管理法の確認や効率的にPDXマウスを樹立する方法の改良などが必要なってくることが判明したため、その条件重ねていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症に対する施設利用制限やルールの変更、及び研究補助者の出勤停止などが重なり、研究を計画通りに遂行する事が困難であった。
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