研究課題/領域番号 |
20K08110
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
檜垣 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (80611334)
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研究分担者 |
粟井 和夫 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (30294573)
立神 史稔 広島大学, 病院(医), 講師 (90411355)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 造影シミュレーション / ヨード造影剤 / 造影プロトコル / 造影CT |
研究実績の概要 |
昨年度開発した造影剤多時相注入シミュレーションソフトウェアを用いて,臨床で使用される様々な造影プロトコルを当てはめてソフトウェアの有用性を検証した。臨床で必要となる時間濃度曲線(Time Density Curve: TDC)の形状は検査ごとに異なるが,例えば肝臓を対象に実施される肝ダイナミックCTにおいては最低280 HUの造影効果が必要となるとの報告がある。このような必要となる造影効果のCT値に加えて,それぞれの部位の検査に必要となる撮影時間,例えば肝ダイナミックCTの場合には10-20秒程度,を組み合わせて目標値とした。 肝ダイナミックCTにおいては,280 HUを一定に20秒間維持するという目標を設定した場合,従来の1相注入した場合よりも一定に保たれた造影効果が得られることが確認できた。造影剤注入速度は後ろの相になるほど低下した。さらに,提案手法を用いた場合7%程度造影剤使用量を減量できることが明らかとなり,より侵襲性の低い造影CT検査が実施できることがわかった。 冠動脈造影CTに適用した場合,300 HUを一定に5秒間維持するという目標を設定すると,肝ダイナミックCTの場合と同様に,造影効果を一定に保つ効果が確認できた。造影剤注入速度は1および4相目で速く,2-3相目では低下することがわかった。造影剤使用量については1相注入の場合と変化が見られなかった(1%未満)。造影剤注入量の絶対量が多い場合にはある程度の減量効果が得られる一方で,少ない場合にはその効果が得られないことがわかった。 本シミュレーションソフトウェアの簡易版をwebブラウザ上で実行できるように実装し,様々な施設からタブレットデバイスなどで簡単に実行できるような仕組みを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソフトウェアの開発はおおむね順調に進んでいるが,臨床における検証が遅れている。これは新型コロナウイルス感染症の影響で臨床研究が実施しにくい状況であることに起因する。臨床での検証から流体模型を使用した検証に切り替えるなどして対策を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きシミュレーションソフトウェアの調整を行うとともに,実際の現象と一致することを,臨床での検証もしくは流体模型を利用した検証によって確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症蔓延のため、参加予定であった学会や出張がキャンセルとなり、おもに旅費の繰越金が生じた。感染状況が改善しつつあるため,次年度で学会活動を再開する。
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