研究課題/領域番号 |
20K08111
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
栂尾 理 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10452749)
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研究分担者 |
菊地 一史 九州大学, 大学病院, 助教 (20529838)
樋渡 昭雄 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30444855) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | MRI / Arterial spin labeling / MR angiography |
研究実績の概要 |
閉塞性脳血管障害や脳動静脈短絡疾患の診断および治療においては脳血管構造や血行動態の可視化および灌流の把握が重要である。これらの評価を行うためのgold standardとなる検査は脳血管造影(DSA)および脳血流SPECT・PETであるが、臨床の現場ではより非侵襲的な手法が求められる。本研究の目的は完全に非侵襲的な新たなarterial spin labeling (ASL)アプローチを用いた頭部MR angiography (MRA)および脳灌流画像の開発とその臨床応用を行うことであり、具体的に以下の3点である。1) Acceleration selective ASL (AccASL)を用いた灌流画像の開発、2) Pseudo-continuous ASL (pCASL)を用いた4D-MRAの臨床応用、3) Superselective pCASLを用いた血管超選択的 4D-MRA(4D-S-PACK)の開発と臨床応用 昨年度に3)の4D-S-PACKの最適な撮像パラメータおよびラベル位置の決定と硬膜動静脈瘻における血管描出の描出能の評価を行い、臨床的有用性を確認した。本年度はそれに引き続いて4D-S-PACKの頭蓋内動静脈短絡性疾患の患者における血管塞栓術や手術の治療効果の判定における有用性を検討する目的で症例を蓄積している。治療の前後、また治療後に経時的に4D-4D-PACKもしくは4D-S-PACKを撮像し、シャント血流の残存の有無や再発の有無をこれらの手法で評価することができるかどうかを検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに4D-S-PACKの最適な撮像条件の決定と硬膜動静脈瘻における血管描出の描出能の評価を行った。それに引き続いて本年度は4D-S-PACKの頭蓋内動静脈短絡性疾患を有する患者における血管塞栓術の治療効果の判定における有用性を検討する目的で症例を蓄積している。血管塞栓術前、後で経時的に4D-PACKを撮像し、シャント血流の残存の有無や再発の有無を4D-S-PACKで評価することができるかどうかを検討する予定である。概ね当初の計画通りに進捗しているが、さらなる症例数の蓄積が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き、4D-S-PACKの頭蓋内動静脈短絡性疾患患者における血管塞栓術の治療効果の判定における有用性を検討するため症例を蓄積していく。脳動静脈奇形もしくは硬膜動静脈瘻の患者の血管塞栓術の前後もしは手術前後で4D-PACKもしくは4D-S-PACKを撮像し、シャント血流の残存の有無や再発の有無を評価することができるかどうかを検討していく予定である。さらに他の臨床応用として頭蓋内外血管バイパス術を行った症例において撮像し、バイパス血管を介する血流を選択的に描出することができるか、脳腫瘍の栄養動脈の同定における有用性についても症例を蓄積し、検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業の目的をより精緻に達成するための追加の研究の実施を行うため。具体的には動静脈短絡性疾患における4D-PACKもしくは4D-S-PACKの治療効果判定おける有用性を検討するために症例を蓄積し解析を行う。その結果を今後学会あるいは論文にて発表していく必要があるため。
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