研究課題/領域番号 |
20K08113
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
塩山 善之 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10323304)
|
研究分担者 |
佐々木 智成 株式会社麻生(株式会社麻生飯塚病院医学研究推進本部), 放射線科, 部長 (10380437)
有村 秀孝 九州大学, 医学研究院, 教授 (20287353)
吉武 忠正 九州大学, 大学病院, 講師 (40452750)
松本 圭司 九州大学, 医学研究院, 助教 (40467907)
白川 友子 (イソヤマ友子) 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40529830)
浅井 佳央里 九州大学, 大学病院, 助教 (40635471) [辞退]
廣瀬 貴章 九州大学, 大学病院, 診療放射線技師 (50608982)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 肺癌 / 放射線肺臓炎 / 深層学習 / 重症度予測 / 再発リスク予測 / 治療法最適化 |
研究実績の概要 |
放射線肺臓炎(radiation-induced pneumonitis: RP)は,肺癌放射線治療において最も重要な有害事象の1つである。これまで,RPに関連する臨床因子および線量・体積パラメータ等について報告はされているが、患者毎にリスクを正確に予測し治療法の最適化に反映することは困難であった。昨年度までは、早期肺癌に対する定位放射線療法(SBRT)を対象にラディオミクスベースのRP予測モデルを構築しその有用性の報告とともにDeep convolutional neural network (DCNN)モデル等も用いた予測精度向上に関する報告を行ってきた。今年度はCT画像特徴量と血清バイオマーカーを組合せることによって更に予測精度の向上が得られるか検討した。早期非小細胞肺癌のSABR症例272例の治療計画CT画像から抽出したトポロジーベースのBetti number (BN) 画像特徴量と血中の間質性肺炎マーカーの1つである血清KL-6を組合せて学習させたsupport vector machine(SVM)モデルを使ってRP発生の予測精度をBNベースの画像特徴量や従来法などの他モデルベースの画像特徴量のみを用いた場合と比較することにより検討した。その結果、BNベース画像特徴量と血清KL-6を組合せたモデルが最も優れており(AUC 0.825、Accuracy 0.724)、RP発症予測に有用と考えられた。 また、SBRTで治療を行った早期非小細胞肺癌125例を対象に、治療後の再発(局所領域再発、遠隔転移)に関連する治療計画CTの画像特徴量の同定とそのリスク予測可能性に関する研究を行い、CT画像特徴量を用いることによりSBRT後の再発リスクを予測可能であることが示唆されるとともに、トポロジーベースの画像特徴量は予測精度を向上させる上で有用と考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、当初より対象を早期肺がん症例(UICC7版ではI期、UICC8版ではI-IIA期)と局所進行期症例(IIIB期, IIIc期)に分けて行う予定であった。 まず、令和2年度からこれまでは、早期症例を対象に定位放射線治療後の放射線肺臓炎を予測に関する研究を開し、治療計画CT画像によるラジオミクスベースの予測モデルを構築するとともに、深層学習によりその精度を向上できる可能性が示唆される等、その精度向上に関する研究を展開できた。また、一方で再発リスク予測や局所進行期肺癌における放射線肺臓炎リスク予測に関する研究等も開始するなど、一定の成果を報告することができたと考えられるため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに行った早期肺がんを対象とした深層学習を用いた放射線肺臓炎予測モデルをより精度が高く有用なものとするため、DVHパラメータや患者因子などを加えた予測モデルの構築を目指す。引き続き、局所進行期症例における放射線肺臓炎の予測モデルに関する検討や再発予測等と組合せた治療法最適化研究に向けた検討を行う。 研究推進のためには研究分担者との連携が不可欠であるが、引き続き、Web会議やメール会議等を活用するなど工夫し可能な限り研究を進捗させる予定。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度も、新型コロナ感染症拡大のため、国際学会への参加自粛や国内学会ならびに研究会がweb開催あるいはHybrid開催となるなど、当初予定していた学会・研究会参加・発表や研究打ち合わせ等を目的とする旅費等の支出ができない等、少なからず研究遂行に支障をきたした。 次年度も引き続き、旅費支出を伴わない学会・研究会の参加費などを含めて積極的に研究成果の発表を行うとともに、研究促進のための意見交換や打ち合わせの機会を増やす。
|