研究課題/領域番号 |
20K08121
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
小林 薫 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70388817)
|
研究分担者 |
山門 亨一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20263022)
児玉 大志 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20422834)
高木 治行 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (30378377)
加古 泰一 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40573209)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 胃静脈瘤 / BRTO / 門脈大循環短絡 |
研究実績の概要 |
門脈・大循環短絡を伴う胃静脈瘤に対して、本邦ではバルーンカテーテルを使用して硬化剤(モノエタノールアミンオレイン酸塩)を停滞させ、シャント路を 閉鎖させる治療法(バルーン下逆行性経静脈的塞栓術:Balloon occluded retrograde transvenous obliteration, 以下 BRTO)が行われている。胃静脈瘤は肝 硬変が背景にあり、短絡路を閉鎖することで門脈血流が増加し、肝機能の改善が副次的に得られる。この治療の問題点は、確実な血栓化を得るためにバルーンカテーテルを留置した状態での術後の長時間安静が必要となることである。モノエタノールアミンオレイン酸塩を使用した胃静脈瘤に対するBRTOは、多施設前向き臨床試験で有効性が示されているが、短絡路を永久塞栓物質で塞栓する方法については多施設多数例の報告はない。本研究では、胃静脈瘤を対象患者として、シャント路の塞栓として金属コイル(永久塞栓物質)にすることで、手技の安全性、実効性、治療効果を確認し、胃静脈瘤のより安全な治療法の確立を目的とした多施設前向き臨床試験である。自施設で2020年8月6日に倫理審査委員会の承認を得て、国内の研究協力施設(5施設)と詳細なプロトコールの検討を2020年9月9日に行った。その後、20例の集積を目標に症例集積を開始した。2021年度は、症例集積が14例(兵庫医科大学:8例、大分大学:1例、大阪公立大学:3例、奈良県立医科大学:2例)となり、2020年度と合わせて総登録数は15症例となった。手技は全例で成功(治療が完遂できた割合100%)し、現在すべての症例で1年間の経過観察期間中である。現時点でフォローアップ期間中にGrade3以上の重篤な合併症は認めていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
多施設の協力のもと、症例集積に取り組んでいるものの、慢性肝疾患患者の減少とともに門脈圧亢進症として生じる胃静脈瘤の患者数は減少していることに加え、コロナ禍で症例の集積に難渋している。2020年度は症例集積が1施設(兵庫医科大学)で1症例のみであったが、2021年度は、症例集積が4施設で14症例の登録を得た。現在のところ、目標症例数の75%の達成率となった。2021年度は症例集積が順調に推移したが、2020年度に症例集積が少なかった影響もあり、現時点で目標症例数には至っておらず、多施設の協力のもと、症例集積に引き続き取り組んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
日本IVR学会修練施設、日本門脈圧亢進症学会、BRTO研究会などを通じて、引き続き症例集積に努め、2022年度中に目標症例数に到達できるようにする。症例集積が少ない場合には、登録期間を延長する、適格条件を変更するなどの手段を講じる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で国内学会および国際学会がリモート開催となった影響で、学会参加旅費の計上がなかったため。 2022年度での学会の開催が現地開催となった場合には旅費として計上する予定である。
|