研究課題
本研究では、DNA損傷指標のγ-H2AXを用いて、放射線治療後のリンパ球障害の程度をフローサイトメトリーで測定する簡易な骨髄抑制予測法の確立を目指す。リンパ球は放射線の影響を最も鋭敏に受けるため、治療後早期にリンパ球障害の程度を確認することが有用である。外照射、内照射後のリンパ球障害をγ-H2AXを用いてフローサイトメトリーで評価し、被ばく量とリンパ球障害の程度、経時的なリンパ球障害の変化を検討した。γ-H2AX発現レベルを推定するために平均蛍光強度(MFI)値を用い、照射後のMFI値(MFI')とコントロールのMFI値(MFI)の比を算出した。in vivoおよびin vitroの外照射実験から、MFI'/MFIの比は照射量と正の相関があることを確認した。外照射によるリンパ球のDNA損傷は、吸収線量に正の相関を持つことが証明された。外照射では、3日目と7日目のMFI'とMFIの比に放射線量によらず有意差は認められなかったが、0.10Gy以上の放射線量を受け入れた実験群では、0日目と3日目の差が有意であることが証明された。外照射による損傷からの回復が3日以内であることが確認された。I-131を用いた低線量内部照射によるリンパ球損傷は24時間以内に回復することが確認された。フローサイトメトリーは、放射線によるDNA損傷を定量的に評価する有効な方法であることがわかった。フローサイトメトリーによる評価はRI治療後の被ばく管理に応用でき、広く役立つと考えられる。
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巻: - ページ: -
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