研究課題/領域番号 |
20K08135
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
神部 敦司 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (70348283)
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研究分担者 |
藤井 進也 鳥取大学, 医学部, 教授 (10379638)
黒崎 雅道 鳥取大学, 医学部, 教授 (20291461)
加藤 亜結美 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (40724810)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グリオーマ / ASL / CEST / ベバシズマブ |
研究実績の概要 |
本年度は、まず学内の倫理審査委員会に本研究課題に対する倫理審査を依頼して6月19日に承認を得た。 承認後に、膠芽腫5例、退形成性星細胞腫2例、毛様細胞性星細胞腫1例の計8例の患者さんとその家族より同意書のサインを頂いて登録作業を進めた。悪性グリオーマ7症例において、放射線治療併用時にテモゾロミド単独で治療した症例は3例、ベバシズマブ併用した症例は4例であった。これらの患者さんに対して、術前術後と放射線化学療法終了時、外来フォローMRIにおいてeASL,CESTを撮影して画像評価を行った。eASLにおいては、Vincentを使用して腫瘍内部の関心領域における灌流値の変化を%SIで評価した。CESTでは同様にVincentを使用してATP値の測定を行った。病理組織診断においては、手術で摘出した標本のCD34染色率、IDH-1遺伝子変異、MGMT遺伝子変異についてIHCで評価した。 ベバシズマブ併用した症例において、術前術後の%SIは放射線治療後に低下している傾向がみられた。$SIが低下する症例は、ベバシズマブによる治療効果が得られている印象であった。また%SI値と摘出標本におけるCD34染色率において正の相関関係が見られる傾向があった。IDH-1遺伝子変異とMGMT遺伝子変異については、ベバシズマブ治療効果に大きな影響は見られかった。CESTにおいては、解像度が低い影響もあって病変部のATP値の変化をベバシズマブ治療前後で評価することが困難であった。ATP値の再設定に関しては、今後の課題と思われた。 本年度の症例に過去の症例を加えて、和文原著1本、英文症例報告2本を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初発膠芽腫症例の登録作業は年間15例程度を想定していたが、倫理審査委員会の承認が6月になったことに加えて、予想より症例が少なく5例に留まった。原因としては、新型コロナウイルス感染の蔓延により遠隔地からの紹介患者が減ったことが影響しているものと思われる。登録した症例に関しては、順調に経過を画像評価できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに登録症例を増やしていき、テモゾロミド単独治療群とベバシズマブ併用群で画像経過をASLやCESTを使用して評価していく予定である。さらに症例数がまとまったところでベバシズマブ治療効果に関与する遺伝子の探索をIHCなどを行って評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は倫理審査委員会の研究課題の承認が遅れたこともあり、新規症例の登録作業が中心となった。ある程度症例が登録された段階で遺伝子解析作業を行う予定にしていたため、登録数が予想より低く遺伝子解析まで至らなかった。そのため遺伝子解析にかかる物品費用を使用しなかったため、561.690円を次年度へ繰り越しとした。使用した238,310円は、学会参加費と発表英文論文の英文校正費用として使用した。次年度は、さらに症例登録数を増やして遺伝子解析を行う予定にしている。
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