研究課題/領域番号 |
20K08135
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
神部 敦司 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (70348283)
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研究分担者 |
藤井 進也 鳥取大学, 医学部, 教授 (10379638)
黒崎 雅道 鳥取大学, 医学部, 教授 (20291461)
加藤 亜結美 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (40724810) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 初発膠芽腫 / ベバシズマブ / 治療反応性 / eASL / COX-2 |
研究実績の概要 |
今年度は、膠芽腫7例、退形成性星細胞腫1例を含む計13例の研究同意書のサインを取得した。悪性神経膠腫8例の後療法の内訳として、テモゾロミド(TMZ)単独1例、TMZ+ベバシズマブ(BEV)7例とBEV併用した症例に偏りが見られた。 昨年度より引き続いて手術検体を使用して、免疫組織染色法(IHC)にてCD-34,IDH-1,MGMT,VEGFRなど評価した。さらに今年度より、VEGFを惹起し、PGE2の律速酵素でもあるCyclooxygenase-2 (COX-2)も追加した。画像所見は引き続きCESTとeASLがBEV治療反応性に関連するかを、Vincentを使用して術前画像のAPT値と%SI(rCBF)で検討した。 昨年度の5例、今年度の7例に加えて、過去に画像評価を施行できた13例を加えた初発膠芽腫25例の中で、BEV治療開始後無増悪生存期間(PFS)が12ヶ月の症例をBEV-responder群(16例)、12ヶ月未満の症例をBEV-nonresponder群(9例)として比較検討した。IHCにおいて、両群間でMIB-1 index, CD-34, IDH-1, MGMT, VEGFRなどの発現に有意差はなかった。COX-2は有意差(p=0.057)を僅かに認めなかったが、BEV-responder群で高発現となる傾向があった。画像所見では、APT値に両群間で有意差を認めなかった。%SI値は、BEV-responder群が349.9%であったのに対し、BEV-nonresponder群は212.4%と有意に低かった。 初発膠芽腫において、術前画像のeASLで高灌流となる症例はBEV反応性が得られやすい可能性が示唆された。また手術検体によるIHCで、COX-2が高発現の症例も同様にBEV反応性が得られやすい傾向があり、初発膠芽腫のBEV治療選択の指標となると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初発膠芽腫症例は年間15例を想定していたが、昨年度が5例、本年度が7例と少なかった。そのため過去の症例で3D-ASLやCESTを用いて術前画像検査を行っていた13例を後方視的に評価することで補った。 本研究のテーマである、初発膠芽腫におけるBEV治療効果に関与する遺伝子として、COX-2を候補として見出すことが出来た。また画像所見においても、BEV-responder群では術前画像のeASLで有意に高灌流であることが判明した。COX-2とeASLにおける術前病変部の高灌流が、本研究のテーマであるBEV治療効果に関与する遺伝子と画像評価法として確立できる筋道が出来たと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き初発膠芽腫の症例を登録して、IHCと術前画像のCESTとeASLを使用しての評価を行う予定である。COX-2以外に新たなBEV治療効果に関与が疑われる遺伝子についても引き続き検索を行う。COX-2に関しては、症例数を増やすことにより有意差が出るか調査を行う。CESTでのATP値に関しては、現時点で両群で有意差が得られておらず、測定方法に関して再評価を行う予定である。 また、想定していた45症例まで来年度分を含めても足らない可能性が高く、研究期間の延長を含めて検討する必要がある。
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