研究課題
「計画2:バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)が全身循環・臓器連関に及ぼす影響の解明」の主要研究課題として以下の臨床研究を遂行し、現在論文作成中である。[目的]慢性肝疾患に合併する代表的呼吸器疾患として「門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症(PoPH)」が挙げられ、その発症に門脈-大循環シャント(PSS)が密接に関与していることが既に証明されているが、PSSを治療標的と捉えた研究報告は未だ無い。本研究ではBRTO前後の循環動態および液性因子の変化について検討することを目的とする。[方法]2023年12月までに当科で施行したBRTO症例のうち、術前後に胸部CT検査・心エコー図検査を施行し得た40症例を対象として、各種統計解析を行った。 [成績]BRTOによって大循環動態の指標である下大静脈径は有意に低下し、それに伴って肺循環動態の指標である肺動脈主幹部径(mPA-D)およびmPA-D/上行大動脈径比はいずれも有意に低下した。また肺高血圧症基準である三尖弁逆流圧較差は明らかな低下傾向を示した。心筋ストレスマーカーである脳性ナトリウム利尿ペプチドと血管収縮因子であるエンドセリン-1が有意に低下した一方、血管拡張因子である窒素酸化物は有意に上昇した。[結語]循環動態調整および液性因子制御の双方の機序を介してPSS閉塞はPoPH治療の一助になり得る。一方、「計画3:BRTOが非代償性肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法(ABMi療法)の治療効果に及ぼす影響の解明」に関しては、全研究期間の前半では新型コロナウイルス感染症流行のため県内外からの患者紹介が少なく、また後半においては紹介患者数が増加したもののその半数以上が治療適応外と判定されたため、ABMi療法施行症例数が想定を大きく下回った。研究期間終了後も当初の計画通りに臨床研究を遂行し、可及的速やかに論文化を目指す。
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Journal of Vascular and Interventional Radiology
巻: 35 ページ: 313~315
10.1016/j.jvir.2023.10.028