研究課題/領域番号 |
20K08138
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
奥田 花江 香川大学, 医学部, 助教 (10437692)
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研究分担者 |
山本 由佳 香川大学, 医学部, 准教授 (30335872)
西山 佳宏 香川大学, 医学部, 教授 (50263900)
大島 稔 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (60624830)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | PET / FDG / 分子イメージング / 膵癌 / 治療効果判定 |
研究実績の概要 |
切除可能境界膵癌では術前補助療法が切除率を向上し予後改善につながる可能性があるとされ、当院でも多くの症例で補助療法を実施している。しかし、術前補助療法を行ってもその効果がある症例と乏しい症例を経験し、予後推定などさらなる精度向上が求められる。18F-FLT(FLT) PET検査では腫瘍組織の増殖能の評価が可能である。膵癌のPET検査で腫瘍増殖能の病態評価を行い、糖代謝の評価が行える18F-FDG (FDG) PET検査と比較検討することで、病理学的・臨床的判断の向上が得られる事を明らかにする。 今年度は、FDG PET検査と造影CT検査を用いて、膵癌の術前補助療法の効果判定における有用性を検討した。PET検査はFDGを投与し、PET/CT装置で撮影し原発巣の最大値SUV (SUVmax)を測定した。造影CTは通常のCT造影剤を用いた視覚的評価に加え、定量的評価として細胞外容積比率(ECV)を算出した。ECVは腫瘍内部の間質量を評価できる指標で、特に膵癌の特徴の1つである癌細胞と比較して間質量が多い点が挙げられる。本検討では、膵癌術前補助療法を施行した10症例に対して治療前後のECVおよびFDG PET/CTのSUVmaxを組織学的評価であるEvans分類Grade IIa以下とIIb以上の2群に分類して比較した。治療前評価ではECVに有意差を認めた(p=0.019)。治療後評価ではECV、FDG PET/CTに有意差を認めた(p=0.010、p=0.010)。FDG PET/CTのSUVmaxとECVは術前補助療法の効果判定における有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腫瘍の糖代謝が評価できる18F-FDG PET検査は施行できている。しかし、細胞増殖能を評価出来る18F-FLT PET検査の実施が難しい場合がある。また、治療前後でのPET検査実施が困難な場合がある。 また、膵癌と診断され術前補助療法が予定された患者で、18F-FDG PET検査で遠隔転移が発見され、治療方針の変更に繋がる症例も経験した。同様に、術前補助療法後の18F-FDG PET検査で、治療効果判定が乏しく病理学的検討が行われない症例も経験した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は膵癌患者に18F-FDG PET検査が行え、また治療前後での効果判定が行えた。その結果、18F-FDG PET検査の治療効果判定における有用性が示唆された。今後も症例数を増やして検討していく予定である。また、膵癌の化学放射線治療などの術前補助療法の病理学的効果判定も併せて検討していく予定である。 一方、細胞増殖能評価ができる18F-FLT PET検査を行い、膵癌の診断と治療効果判定における有用性を検討していく予定である。 また、PET検査以外の分子イメージング手法として、造影CTを用いた細胞外容積比率(ECV)評価を追加していく予定である。膵癌の特徴の1つは癌細胞と比較して間質量が多い点であり、間質量増加は化学療法の浸透性を亢進させる。間質量を評価する手法として造影CTを用いたECVがある。ECVなどの評価も加え、膵癌の診断と治療効果判定における有用性をあわせて検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会出張が取りやめになったため(使用計画)学会出張費に充てる
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