本研究では、卵巣癌の早期診断薬剤開発を目的に、フッ素基が示す高いMRIシグナルとフッ素基同士のフルオラス相互作用を基軸とするフッ素化脂質分子鎖を構築し、高標的性かつ高安全性を示す卵巣癌標的ナノキャリア型19F-MRIプローブの開発を目指した。フッ素数の異なる脂質分子を合成し、フッ素を17個有する化合物において安定な単分子膜を形成すること、内部に超音波造影ガスを封入した粒子においても安定性が向上することがわかった。卵巣癌特異的なリガンド分子を組み込んだフッ素化脂質分子鎖の開発にも成功したことから、今後、粒子を製剤化し細胞および動物実験により卵巣癌の19F-MRIプローブとしての有用性を評価する。
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