研究課題/領域番号 |
20K08145
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
秋山 久尚 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (50231840)
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研究分担者 |
小林 泰之 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 教授 (40285804)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 4D Flow MRI / 潜因性脳梗塞 / 塞栓源検索 / 心原性脳梗塞(塞栓症) / 大動脈原性脳梗塞(塞栓症) / 潜在性心房細動 / 貼付型長時間心電計Duranta |
研究実績の概要 |
現保険医療制度で通常行われる脳梗塞の塞栓源検索を十分に行っても原因が特定できない潜因性脳梗塞は、その基礎疾患(塞栓源)として潜在性心房細動(心原性脳塞栓症)や大動脈弓部粥腫(大動脈原性脳塞栓症)による血栓形成が主因と考えられている。この潜在性心房細動と大動脈弓部粥腫との鑑別は、再発予防療法が抗凝固療法と抗血小板療法と全く異なるため正確な診断が重要となる。しかし、これらの診断には短(24)時間ホルター心電図が行われるも検出率が不十分で、経食道心臓超音波や皮下植込型心電計(Reveal LINQ、BIOMONITORⅢ等)は侵襲性が高く、患者への負担も大きい。 本研究は、現保険医療制度で短時間ホルター心電図、貼付・植込型長時間心電計DurantaやReveal LINQ、BIOMONITORⅢ、経胸壁・食道心臓超音波を駆使してまでも塞栓源が証明できない潜因性脳梗塞例に対し、脳卒中領域では未開拓の4D Flow MRIを応用することに意義がある。この4D Flow MRIによる解析で、各種長時間心電計で心房細動の検出が無くとも、左心房・左心室・大動脈弓部での立体的血流プロファイル、血栓形成指標と塞栓源同定指標(淀み/流線/流量比率/圧分布/FFR/WSS/OSI/EL)を検出し、更にはパスライン解析および流線解析から血栓形成領域を同定する。 これらにより左心房内の淀み消失やWSSの亢進等の所見を認めれば心原性脳塞栓症の診断が可能か否か、経食道心臓超音波で大動脈弓粥腫が無くとも、大動脈弓部の立体的血流プロファイルにより頸動脈等の頭蓋内血管へ流入する血流を認めれば大動脈原性脳塞栓症の診断が可能か否かを明らかにし、心原性脳塞栓症と大動脈原性脳塞栓症の血栓形成機序を非侵襲的に可視化する4D Flow MRIの有用性を検証、正確な塞栓源確定診断のためのフローチャートを構築することを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年7月15日に1例目の潜因性脳梗塞例の4D Flow MRIを行い、現在まで既に16例施行している。これら対象例の左心房・左心室・大動脈弓部での立体的血流プロファイル、血栓形成指標と塞栓源同定指標を検出、また、パスライン解析および流線解析から血栓形成領域を同定し潜在性心房細動(心原性脳塞栓症)と大動脈弓部粥腫(大動脈原性脳塞栓症)の鑑別が可能か否かを検討している。今年度には目標の50例に到達する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
潜因性脳梗塞に対する4D Flow MRIは問題なく施行可能であり、左心房・左心室・大動脈弓部の立体的血流プロファイル、血栓形成指標と塞栓源同定指標(淀み/流線/流量比率/圧分布/FFR/WSS/OSI/EL)の検出、また、パスライン解析および流線解析から血栓形成領域の同定を引き続き継続する。今後、更なる症例を登録し4D Flow MRIが非侵襲的に塞栓源検索が可能か否かを検証し、正確な塞栓源確定診断のためのフローチャートを構築していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定よりソフトレンタル料が安値であったため、次年度使用額が生じた。次年度もソフトをレンタルする予定のため、その費用及び学会参加のための旅費に充てる。
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