研究課題/領域番号 |
20K08147
|
研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
瀬川 麻里子 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (00435603)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | RI分析 |
研究実績の概要 |
全身ガンへの高い治療効果が期待されるα線放出核種211At内用療法の実用化において、基礎研究に用いられる低放射能から医学利用される高放射能の211Atの生成量と化学形の迅速な分析技術の開発が求められている。そこで本研究では、211Atを化学形毎に展開した薄層クロマトグラフィから放出されるα線をシンチレータにより可視光に変換し、その可視光をカメラにより可視化して得られる輝度から高速で放射能と化学形を分析するソフトウェアを開発し、これらを高速で分析する技術を確立する。本年度は、日本原子力研究開発機構タンデム加速器施設にて生成された211Atを利用し放射能と輝度値に関する特性データを取得し、このデータを利用した分析ソフトウェアの開発に着手した。 これらの成果を査読付き論文1報、及び国内会議(口頭発表1件)で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は、当初計画通りに高速度カメラ、遮光用暗箱、高解像レンズ、シンチレーター、制御用機器を用い、放射能を変えた12点の211Atから放出されるα線の輝度値を取得し、放射能を定量可能とした。さらにこの輝度特性から薄層クロマトグラフィから放出される化学形毎のα線を分析するソフトウェアを設計・製作したことから、おおむね順調に進展している。と判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度以降は、ソフトウェアに関しAI等を活用した雑音の低減化により画質を向上させ分析精度の向上を行う。 また、ハードウェアに関しては、昨年度実施した基礎試験により撮像を行うカメラのセンサー温度が暗電流(画像のバックグラウンド)に強い影響を与える事が明らかになったため、低暗電流のカメラによる撮像システムを構築し、カメラセンサーの温度を高精度で制御して画像の雑音を低減化する。これにより得られる画像の輝度対雑音比を向上させる。 以上の開発から、薄層クロマトグラフィから放出される化学形毎のα線の分析精度を向上させるとともに、撮像時間を最適化して分析の高速化を実現する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に開発したα線を分析するソフトウェア開発について、予定より低い金額での開発が可能となったため、当初予定額との差額が次年度使用額として生じた。次年度使用額は、令和3年度分経費と合わせて、令和2年度に開発したソフトウェアの更新を含む撮像システム開発に係る費用として使用する。
|