研究課題/領域番号 |
20K08152
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山田 雅文 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (70435981)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遺伝性葉酸吸収不全症 / 早期診断 / 適応拡大 |
研究実績の概要 |
遺伝性葉酸吸収不全症 (HFM)の早期診断と早期治療による予後の改善:国内在住の非日本人のHFM疑い乳児1例でSLC46A1遺伝子解析、および機能解析によりHFMの確定診断に至った。早期診断に基づきフォリン酸静注による早期治療を開始し、種々の症状をコントロールすることができた。日本人患者で共通して検出したdeep intronic mutation: c.1166-285T > Gは有しておらず、この変異は日本人特有のものである可能性が示唆された。
HFMの認識を広める活動:2020年の日本小児神経学会では、West症候群を呈したHFM症例の発表をし、難治性てんかんの中にもHFMが存在し、鑑別する必要があることを報告した。研究発表にあげたMiyashitaらのPulmonary hypertension related to hereditary folate malabsorption in an infant. Pediatrics International 2020.で、申請者が診断した肺高血圧症を合併したHFM患者の論文作成の指導で貢献した。
最善の治療に関する検討:高度の葉酸欠乏をきたしている急性期において有効なのはフォリン酸(ロイコボリン)静注のみであるが、葉酸欠乏には適応が通っておらず、倫理委員会を通した上で投与を行なっているという現状がある。そのため、適応拡大への要望書を小児血液学会から提出した。さらに、頻回の病院通院によるフォリン酸静注により患者QOLが高度に低下しているため、北海道大学産学連携室を通して企業と連携し、皮下注製剤の開発などの開発に向け、検討することになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希少疾患であるため、多くのHFM患者が診断されることは想定されないが、周知活動によりさらに1例の診断ができた。 HFMの認識を広める活動については、COVID-19の影響により、日本小児科学会での発表や、北海道免疫不全症研究会が中止になり、2020年度の発表の機会が減少した。 2021年度は、中止になった日本小児科学会や北海道免疫不全症研究会での発表を予定している。 COVID-19により2020年度は学会/研究会発表に大きな障害が生じたが、web会議が広がったことにより、全国レベルでの話し合いの機会を得るのは容易になっている。そのような場を通じて、希少疾患であるHFM患者の主治医と情報共有をすることにより、HFMの診断、治療、長期的な管理方法や予後についての問題点がより明確になるとかんがえられ、推進していく予定である。 申請者の最初のHFM診断例が8歳になり、今回精神神経発達について精査を行い、投稿中である。その結果を踏まえ、全国のHFM確定例全例で共通の精神神経発達の評価法に基づいて評価を行う方向で検討している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、中止になった日本小児科学会や北海道免疫不全症研究会での発表を予定している。 COVID-19により2020年度は学会/研究会発表に大きな障害が生じたが、web会議が広がったことにより、全国レベルでの話し合いの機会を得るのは容易になっている。そのような場を通じて、希少疾患であるHFM患者の主治医と情報共有をすることにより、HFMの診断、治療、長期的な管理方法や予後についての問題点がより明確になるとかんがえられ、推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19による学会中止により、旅費や学会参加費が不要になったため。 5-10例程度の解析を想定していたが、3例の解析にとどまったため。 2021年度以降は、web会議などを通じて認識を広げる活動を推進し、さらに多くのHFM患者の解析を行なっていく予定である。
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