研究課題/領域番号 |
20K08153
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊池 敦生 東北大学, 大学病院, 助教 (30447156)
|
研究分担者 |
石井 直人 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60291267)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | Bリンパ球 / ゲノム編集マウス / 希少疾患 |
研究実績の概要 |
Bリンパ球欠損症の患者から見出した新規候補遺伝子について、遺伝学的・機能的に証明することを試みる。遺伝学的証明として同一遺伝子によるBリンパ球欠損少患者のさらなる同定を試みる。機能的解析の中心としてはゲノム編集マウスによる解析を通じてこの遺伝子がBリンパ球や造血系に重要な働きをしていることを示す。これらの解析により、Bリンパ球欠損の新規原因遺伝子として証明するのが本研究の目的である。 1.患者と同等の変異を有するゲノム編集マウスについて、ヘテロマウスのBリンパ球を含む造血系細胞の解析を行った。成獣マウスの末梢血や骨髄血、副水中のリンパ球のサブセット解析を行った。現時点では野生型マウスとの有意な差を見い出していない。 2-1.ホモマウスは胎生致死となる。胎児・胎盤解析では胎盤の変化が最も早期に観察され、胎盤の障害が胎生致死の原因である可能性を考えている。当初の予想と異なり、機能不明であった本遺伝子の機能の一つとして胎盤の正常発生に必要な分子であることが示唆された。本遺伝子産物の胎盤への関与はこれまでに全く知られていない。胎盤の詳細な解析を実施中である。 2-2.ホモマウス胎児は肝臓が白色調で、造血系の異常も合併していることが示唆される。肝細胞における造血系細胞の詳細な解析として、FACSによる細胞集団の野生型との比較、RNA-Seq等による発現解析を開始している。予備的検討結果について、バイオインフォマティクスによる解釈を行っている状況である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.患者と同等の変異を有するゲノム編集マウスについて、ヘテロマウスのBリンパ球を含む造血系細胞の解析を行った。成獣マウスの末梢血や骨髄血、副水中のリンパ球のサブセット解析を行った。現時点では野生型マウスとの有意な差を見い出していない。 2.ホモマウスは胎生致死となる。mRNAレベルでは、ホモマウスは野生型の3割程度、ウエスタンブロッティングで評価したタンパクレベルでは1-2割程度の発現量と低下していることを確認した。胎児・胎盤解析では胎盤の変化が最も早期に観察され、胎盤の障害が胎生致死の原因である可能性を考えている。当初の計画にはなかったが、機能不明であった本遺伝子の機能の一つとして、胎盤の正常発生に必要な分子である可能性があり、胎盤の詳細な解析を実施中である。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予想と異なり、機能不明であった本遺伝子の機能の一つとして胎盤の正常発生に必要な分子であることが示唆される進捗である。本遺伝子産物の胎盤への関与はこれまでに全く知られていない。今後、この仮説の検証を中心に進めていく予定である。また、当初想定していた造血系細胞への関与についても、ヘテロマウス(骨髄、脾臓、末梢血含む)、ホモマウス(胎児肝など)を用いて継続していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験試薬等の効率的使用に努めた結果、次年度使用額が生じた。また、新型コロナウイルス感染症の影響で国内外への出張が制限されたことも旅費の使用額が減少した要因である。引き続き試薬や消耗品の使用は効率的となるように心がける。一方実験の信頼度を高めるために実験の試行回数を増やしたり、検討条件を増やす必要がある場合がある。この目的にも、次年度使用額と翌年度分をあわせて用いていく。
|