研究実績の概要 |
急性巨核芽球性白血病(Acute megakaryoblastic leukemia, AMKL, FAB分類 M7)は全AMLの1%とされるが、小児AMLでは約15%を占め、ダウン症に合併することが良く知られており、ダウン症合併AMKLは比較的予後良好とされている。一方非ダウン症のAMKLはこれまで一般的に予後不良とされていたが、最近の研究ではキメラ遺伝子によって予後が異なることが明らかとなってきた。非ダウン症のAMKLのさらなる治療成績の向上のためには、予後不良なAMKLに対する臨床応用にむけた新規分子標的探索が重要と考えられる。 このため①できるだけ多数のAMKL初発・再発検体のペアで遺伝子解析を行い、クローン進化について検討すること、②AMKL細胞株で薬剤感受性について、新規薬剤について検討を行うこと、③JPLSG R15の再発AMKL検体について薬剤感受性の検討を行い、合わせて遺伝子解析を行うことを目標としている。 AMKL細胞株の薬剤感受性試験については、代表的なAMKL細胞株(CMK, Meg1, Mo7E)をドイツのDSMZ-German collection of microorganisms and cell culturesGmbHから購入したので、今後実施する予定である。 JPLSG AML R15の薬剤感受性試験は現在30数例行われており、そのうちの10-20%はAMKL症例と推定される。現在のところ詳細な臨床データの開示がされていないが、大きく薬剤耐性を示したものは10%程度と少数であった。このことから再発の多くが、元のmajorクローンの薬剤耐性化で起こるものではなく、初発時minor cloneや薬剤攻撃に耐えたleukemic stem cell/progenitor cellから新たに進展したものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在10例のAMKLについて次世代シーケンサーを用いて検討を行い、おおむね順調に進展している。 この中にはCBFA2T3-GLIS2キメラ遺伝子陽性4例、NUP98-KDM5Aキメラ遺伝子陽性1例、RBM15-MKL1キメラ遺伝子陽性2例、キメラ遺伝子検出せず2例が含まれている。10例中6例で再発がみられ、5例が死亡例であった。白血病関連163遺伝子を搭載したターゲット遺伝子解析を行ったところ、KIT, SPI1, GATA1, NCOR2, SETBP1, CSF3R, EZH2, TET2, PIK3CG, SMARCA2, SH2B3, GATA1, KRAS, IKZF1などの遺伝子変異がみつかっている。今後はさらに症例数を増やすことと、初発再発の比較を行っていく予定である。 AMKL細胞株の薬剤感受性試験については、代表的なAMKL細胞株(CMK, Meg1, Mo7E)をドイツのDSMZ-German collection of microorganisms and cell cultures GmbHから購入して確保したので、今後実施する予定である。 JPLSG AML R15の薬剤感受性試験は現在30数例行われており、そのうちの10-20%はAMKL症例と推定される。現在のところ詳細な臨床データの開示がされていないため今後の検討事項であるが、再発検体全体の中で大きく薬剤耐性を示したものは10%程度と少数で、いずれも通常のAML治療薬であるCytarabine, Daunorubicin, Etoposideに対する感受性がみられた。このことから再発の多くが、元のmajorクローンの薬剤耐性化で起こるものではなく、初発時minor cloneや薬剤攻撃に耐えたleukemic stem cell/progenitor cellから新たに進展したものと考えられた。
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