研究課題
2021年度途中で自治医科大学に異動し、新たな実験室で研究を開始した。KG-1、U937、THP1、HL60、K562、CMK、M-07e、CMY、UT-7などの急性骨髄性白血病(AML)細胞株の培養と保存を行った。AML細胞(KG-1、U937、THP1、HL60、K562)と比較して急性巨核芽球性白血病(AMKL)細胞(CMK、M-07e、CMY、UT-7)はIL-2、GM-CSFなどのサイトカイン依存性であった。新たに筑波大学医工学三好講師と共同で間葉系幹細胞(MSC)との3D共培養系での細胞培養を開始している。これは再発に白血病幹細胞が関与していると考えられるも、直接白血病幹細胞の研究は希少なため困難であった。現在白血病幹細胞の増幅を試みている。AMKLがサイトカイン依存性であることから、JAK/STAT阻害剤などの投与実験を開始している。またアポトーシス以外のプログラム細胞死について検討するため、実験系の準備をしている。臨床例で、生後2か月の肝不全のため、生体肝移植を実施した症例が、後にAMKLであることが判明した。非ダウン症のAMKLであるため、代表的なキメラ遺伝子であるCBFA2T3-GLIS2、NUP98-KDM5A、RBM15-MKL1について検討したところ、RBM15-MKL1キメラ陽性であった。骨髄では芽球は少なく、移植された肝臓の組織からもAMKL細胞が病理、RT-PCRで同定され、化学療法を行い、現在寛解を維持している。これまで国内外から肝不全で、後にAMKLと診断された症例の報告の3例全てで、このキメラ遺伝子が検出されている。このタイプのAMKLはこれまでの報告からも付加的遺伝子異常に乏しかった。発症時期が問題で、ダウン症のTAMの様に、母胎内早期の発症が示唆された。現在投稿準備中である。
3: やや遅れている
2021年度に自治医科大学に異動し、新たな研究室で研究をスタートしたため。
研究体制は整ったので、今年度で研究実施は可能と考える。また白血病幹細胞や非アポトーシス性プログラム細胞死の研究も開始したので、今後研究の進展が期待される。
2011年度途中で自治医科大学に異動したため。2022年度は繰越金も含め、試薬の購入、細胞の機能解析などの試薬購入に充てられる予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件)
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