研究課題/領域番号 |
20K08161
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
西 順一郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40295241)
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研究分担者 |
藺牟田 直子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (00643470)
児玉 祐一 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (20535695)
大岡 唯祐 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (50363594)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大腸菌 / 基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ / ESBL / CTX-M / K1莢膜遺伝子 / 腸管凝集性大腸菌 / バイオフィルム |
研究実績の概要 |
2021年度は、2019~2021年に鹿児島大学病院の血液由来大腸菌100株について、O・H抗原型、MLSTを調べ、薬剤耐性遺伝子と病原遺伝子の検出を試みた。主な血清型は、O25:H4/ST131 15株(15%)、O6:H35/ST73 13株(13%)、O1:H34/ST95 5株(5%)、OUT:H5/ST1193 5株(5%)であり、その他多様な血清型がみられた。O25:H4/ST131 とO6:H35/ST73は尿路病原性大腸菌の病原遺伝子を保有する株多く、O1:H34/ST95 とOUT:H5/ST1193は髄膜炎と関連するK1莢膜遺伝子保有株が多かった。ESBL CTX-M遺伝子保有株は18株(18%)でO25:H4/ST131に多かった。またAmpC型β-ラクタマーゼ産生株が4株みられた。血清殺菌抵抗遺伝子(increased serum survival gene, iss)の検出頻度は85%と高く、薬剤耐性株はすべてissを保有していた。 また、鹿児島県の小児下痢症患児由来大腸菌 (2001-2019年)から検出した355株のESBL CTX-M遺伝子保有株の解析を行った。そのうちK1莢膜遺伝子保有株が43株(12.1%)みられ、血清型O1/O18が多く、34株(79.1%)が2011年以降に検出された。系統群B2が38株(88.4%)、系統群 E 3株(7%)、系統群 A とDがそれぞれ1株(2.3%)であり、系統群 Dの株はバイオフィルム形成能の強い腸管凝集性大腸菌のAggR遺伝子を保有していた。 血液由来大腸菌と小児腸管由来大腸菌ともに、遺伝的多様性が著明であり、薬剤耐性遺伝子と病原遺伝子の水平伝播が進みつつある。特に、薬剤耐性遺伝子と病原遺伝子を併せ持った病原性の強い薬剤耐性大腸菌の出現に注意が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血液由来大腸菌と小児下痢症患者由来大腸菌の収集は順調に進んでいる。2021年度は新型コロナウイルス感染症のさらなる拡大で、バイオフィルム形成能とCTX-M遺伝子保有プラスミドの伝播実験の進展が遅れたが、大腸菌からの薬剤耐性遺伝子と病原遺伝子の検出はおおよそ予定どおり行えている。
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今後の研究の推進方策 |
血液由来大腸菌と小児下痢症患者由来大腸菌で検出されるCTX-M遺伝子保有株の中で比較的多くみられるO25:H4//ST131については、CTX-Mタイプとclade解析を行い、主要なクローンの推移を見る予定である。また、EAECのバイオフィルム形成能とCTX-M遺伝子保有プラスミドの伝播実験を実施し、水平伝播を促進するメカニズムの探索を継続する。さらに、成人の血液由来大腸菌と小児腸管由来大腸菌の系統との比較を行い、大腸菌の多様性とダイナミズムを検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、研究代表者が鹿児島県内の感染制御活動に従事せざるをえず、予定していた実験の一部を実施できなかったため。また、予定していた国際学会や国内学会の多くが新型コロナウイルス感染症の影響で中止になったため。2022年度は、2021年度に予定していたバイオフィルム形成能とCTX-M遺伝子保有プラスミドの伝播実験のための消耗品の購入と、国内学会参加のための旅費に予算を使用する予定である。
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