研究課題
昨年度に作成したアンジオテンシン2 (ACE2)の抗肥満効果検証モデルマウスで、recomninant human ACE2投与により、高脂肪食負荷群で酸素消費量増加を伴う体重減少、耐糖能改善、褐色脂肪細胞 (BAT)重量の増加、白色脂肪細胞 (WAT)の減少を認めた。このことからrhACE2による体重減少は、基礎代謝亢進によりWAT重量が減少したことによると考えられた。rhACE2の体重減少メカニズムの解明のためにBATと鼠径部皮下白色脂肪組織 (sWAT)の組織学的・分子生化学的解析を行なった。rhACE2投与群では、脂肪分解酵素 (ホルモン感受性リパーゼ (HSL)、 脂肪細胞特異的トリグリセリドリパーゼ (ATGL))の発現亢進を伴う脂肪滴の縮小化を認めた。更に、3アドレナリン受容体/PKA/p38MAPKによるUCP1の発現上昇、BAT増殖因子であるAMPK、mTORと分化因子であるPRDM16、PGC-1a、EHMT1の発現亢進を認めた。sWATにおいてもBATと同様にrhACE2投与群で脂肪分解酵素の発現亢進、UCP-1の発現増加を認めた。また、ベージュ化促進因子であるPRDM16、EHMT1、FGF21の発現が亢進し、組織学的にもベージュ化が確認された。このベージュ化の分子メカニズムとして、H3K9のジメチル化、H3K9とH3K27のアセチル化が関与していることを示唆する所見が得られた。
2: おおむね順調に進展している
独自に作出した高脂肪食負荷肥満モデルマウスにrhACE2の投与を行い、褐色脂肪細胞や白色脂肪細胞の分子生物学的解析を行い、ACE2による抗肥満効果のメカニズムの一端を解明した。
予備実験で、月齢によりrhACE2の抗肥満効果が異なるというデータを得ている。2022年度は、褐色脂肪細胞を用いたin vitroの実験と、異なる月齢のマウスを用いた検討を行い、ACE2の抗肥満効果のメカニズムの更なる解明を行なっていく。
研究計画書では当該年度に学会発表のための旅費も計上していたが、コロナ禍でweb開催となったため、計画していた旅費の支出が減ったことも一因である。次年度は、研究成果を国内学会で発表するために旅費として使用する予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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