研究課題/領域番号 |
20K08174
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研究機関 | 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所) |
研究代表者 |
竹信 尚典 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究員 (60392247)
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研究分担者 |
迎 恭輔 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究員 (60793974)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | iPS / iPS細胞 / 細胞分化 / 神経芽腫 |
研究実績の概要 |
小児がんである神経芽腫は、神経堤細胞に由来し、交感神経への分化の過程で発生する、悪性固形腫瘍である。神経芽腫の悪性化と相関する遺伝子異常はMYCN遺伝子の増幅であるが、悪性の神経芽腫においても1/3程度にしか存在しない。我々はヒトiPS細胞を神経堤細胞に分化する実験系を用いて、正常細胞から神経芽腫細胞を作り出すことを試みており、これまでに、頭部型と尾部型の2つのタイプの神経堤細胞へ分化が可能であることを明らかにした。さらにiPS細胞から分化させた神経堤細胞へのMYCN遺伝子の導入を行い、神経芽腫の原因遺伝子の一つであるMYCNの高発現細胞を得ることに成功した。これまでにPHOX2B, SOX10などの神経芽腫の根源となる細胞のマーカーの発現が上昇していることも確認した。 それらの神経芽腫の根源となりうる細胞に対して、全遺伝子を標的とする複数のCRISPRライブラリを導入する。導入した細胞は、特定の遺伝子もしくは、複数のがん抑制遺伝子に変異が導入された際に、強い増殖能力と細胞死に対する抵抗性を獲得すると考えられる。 本研究では、それらの細胞を軟寒天中でのコロニー形成、免疫不全マウスでのスクリーニングなどの複数の方法を通じて選び出す。選び出し多細胞は、どのような遺伝子が神経芽腫を形成するための決定的なセカンドヒットとなっているかを次世代シークエンスを用いて明らかにし、パスウェイ解析などを介して、新たな治療標的の同定へつなげる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分担研究者によって先行研究を参考に、iPS細胞から神経堤細胞への分化方法が確立した。それらの細胞にMYCNを導入し、何らかの追加の異常を惹起するため、軟寒天中での形質転換を引き起こし、免疫不全マウスに導入したところ、神経芽腫ではなく骨分化が促進された。これらの結果は現在論文を作成している。これらの結果は、神経堤細胞が頭部(cranial)型に分化しているためであると考えられる。そこで、別論文を参考に、尾部(trunk)型の神経芽腫細胞へ分化させ、マーカーの一つであるPHOX2Bを高発現する細胞を調製している。これまでに、神経芽腫に発現の高いマーカー遺伝子の発現は確認できていない。 CRISPRライブラリプラスミドについては発注を行い、細胞への導入を検討している。その実験に関して、ライブラリプラスミドを増幅させるための特殊な大腸菌が、新型コロナウイルスの影響によって入手困難となっており、代替品も存在しないため実験が滞っている。
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今後の研究の推進方策 |
CRISPRライブラリを増幅するための大腸菌が届き次第、プラスミドの増幅を行う。また、現在携わっている研究において、Cas9を誘導して遺伝子破壊を起こした細胞において、長期間の培養を行うと不完全に破壊された遺伝子の発現が回復し、片アレルのみの発現がみられることが往々にして観察された。このことから、Cas9を誘導した後、生き残った細胞を選択することも必要であるが、早期にがんを形成させるために早期に実験動物へ投与して、生着した細胞について破壊された遺伝子の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響によって、一部の試薬や機器の在庫が存在せず、年度末までに届かなかったため、多少の残額が生じた。それらの試薬についてはすでに業者発注済みもしくは2021年度にすでに購入済みである。また、計画時に予定していた国際学会が中止になったことや、国内学会参加に関する旅費を使用することが出来なかった。旅費に関しては、2021年度も同様になることが予想される。
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