研究課題
①高密度オリゴヌクレオチドアレイと次世代シーケンサーを用いた小児期発症心筋症のゲノム異常の網羅的探索および変異データベースの構築:当院で経験したミオパチーを伴う致死的心筋症の家系において、網羅的遺伝子探索を行いMYL2遺伝子の複合ヘテロ接合性変異を検出し、日本人において初めての劣性MYL2遺伝子関連心筋症の報告を行った(Int Heart J. 2021 Mar 30;62(2):445-447)。本症例からMYL2蛋白においてC末端が重要な役割を担っていることが確認された。また、別の小児期発症心筋緻密化障害の家系においてエクソーム解析を施行したが、原因遺伝子の同定には至らなかった。②LZTR1機能解析1.lztr1ノックアウトゼブラフィッシュにおいて、常染色体劣性遺伝ヌーナン症候群において報告されている肥大型心筋症の心臓表現型の再現に成功し、lzr1ノックアウトゼブラフィッシュの心臓および血管表現型に関して論文報告を行った(Mol Genet Genomic Med. 2020 Mar;8(3):e1107)。2、血管内皮HUVECを使ったtube formation assayを構築し、LZTR1の血管内皮における役割について解析を行った。RNA阻害により、血管管腔構造の維持が阻害されることを示し、LZTR1が血管内皮が管腔構造を形成する過程に必須なタンパクであることが示唆された。3、LZTR1のモノクロール抗体を作成するために、LZTR1のリコンビナントタンパク質の精製を行っている。4、分子間相互作用を介して、上記異常が引き起こされているかを明らかにするために、培養細胞でのタグ付きLZTR1過剰発現系を用いてプルダウンアッセイを行った。二次元電気泳動の結果から、空ベクターと過剰発現ベクターとで、異なるスポットが何点か認められ、質量分析法による蛋白同定を試みている。
3: やや遅れている
日本における小児心臓移植の患者数減少により、新規重症患者の受け入れが難しく、遺伝子データベース構築のための患者のリクルートに難渋している。
①当院で移植待機をしている患者について、遺伝子解析を進めて行く予定である。②質量分析法によるLZTR1と分子間相互作用を有する蛋白の同定を進めて行く。
遺伝子データベースに登録する患者のリクルートが滞っているため、エクソーム解析に使用予定であった予算との差が生じている。今年度に、患者のリクルートを進め、エクソーム解析を施行予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Circ J.
巻: 86 ページ: 109-11
10.1007/s00380-021-01989-7
Heart Vessels
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