研究実績の概要 |
今年度は、安定同位体セシウム(Cesium;Cs)添加時の細胞毒性評価とインフルエンザウイルス(IAV)の増殖に及ぼす影響を検討した。細胞毒性評価はMTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide)assayを用いた。MEM培地にCsClを0, 0.1, 0.3,1, 3, 10, 30mMで添加した場合の吸光度(A570- A650)で評価し、A549細胞とHEK293T細胞で検討を行った。添加48時間後ではCsCl 添加 0.1~3mMの生細胞率はA549細胞とHEK293T細胞のいずれも80%を超えていた(CsCl (-)を100%とした場合)。しかし、CsCl 10mMを超えると著しい細胞障害が認められた。次に、細胞障害を起こさない低濃度のCsCl添加時(0, 0.1, 0.5, 1mM)のポリメラーゼ活性への影響を検討するために、インフルエンザウイルスのミニゲノムアッセイ(pCAGGS-PB2,PB1,PA, NP (A/WSN/1933(H1N1))とNP分節NCRを持つルシフェラーゼ遺伝子をコードするpPolI-NP(0)Fluc(0) をHEK293T細胞にトランスフェクションし、転写・翻訳されるルシフェラーゼを測定)を行った。Relative Luciferase Activityは、CsCl 0mMを1とした場合、0.1mM 1.47、0.5mM 1.14、1mM 1.14(mean)であり有意差は認められなかった。このことから低濃度CsCl添加は、IAVのポリメラーゼ活性には影響を及ぼさないと考えられた。
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