研究課題
成人に比べて小児の視空間注意機構の神経基盤は不明の点が多く、これを解明することは、注意の持続困難を呈する児に限らずどの子どもにとっても、学習面など様々な面で、その対処法を考案するのに有用である。我々は、200人以上のコホート集団を対象として視空間注意を惹起する課題について、2・4・6歳時と縦断的に、アイトラッカー(視線追跡装置)を用いてデータ収集を継続している。本研究の主な目的は、その蓄積されたデータを縦断的に解析することで視空間注意の発達の軌跡を描出し、子どもの認知行動との関連を明らかにすることである。さらに8歳ではアイトラッカーと近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)の同時計測を実施して脳科学的な裏付けを与える計画であった。令和元年度に引き続き、令和2年度も6歳時点でのデータ収集を継続したが、緊急事態宣言など新型コロナウイルス感染症の影響により、検査を実施するために大幅な調整が必要となり、検査実施にも非常に時間を要した。また参加者数も予定に達することができなかった。しかし、この研究には、注意実行機能を測定する課題に加え、線2分法・利き手の調査など認知面を評価する様々な検査も含まれており、合わせて解析することで、子どもの認知機能について総合的な解析が可能になると考えられた。検査時の年齢が8歳に達するため、より長時間の課題に耐えられるようになったため、新しい課題作成を行い実施可能であることを確認した。
4: 遅れている
データ取得・解析ともに、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、データ取得に支障を生じただけでなく調整にも時間を要し、解析が大幅に遅延したため。また新型コロナウイルス感染症について、アイトラッカーは参加者と非接触で実施可能であるが、NIRS計測についてはプローブ設置が必要で参加者と接触する必要があるため実施しないことを決定した。
8歳のデータ収集を開始する。また2歳・4歳・6歳のデータの縦断的な解析を予定している。
新型コロナウイルス感染症により研究計画全体に大幅な遅れが生じ、次年度に使用額が生じることになった。
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The FASEB Journal
巻: 34 ページ: 16601-16621
10.1096/fj.202001113R