研究課題/領域番号 |
20K08187
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
菊地 顕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (40453104)
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研究分担者 |
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572547)
吉田 秀樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10643546)
家原 知子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20285266)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 鶏卵漿尿膜法 / 横紋筋肉腫 |
研究実績の概要 |
近年患者の個人差を考慮し、その患者に有効と考えられる特異的で副作用の少ない治療法を設定するプレシジョン医療が積極的に議論されるようになってきたが、小児がんの分野ではその希少性からかいまだ十分に検討が行われているとはいえない。 がん創薬研究におけるモデルとしては、細胞株(Cell line)を用いたin vitro試験と、そこで効果を認めた細胞株系を免疫不全マウスに移植したCell line-derived xenograft(CDX)モデルが使われている。一方最近、がん細胞株は元のがん組織の特性が失われている可能性があること、また腫瘍、患者間での多様性、さらに異種性のためこのモデルでは抗がん剤の正確な治療効果を予測できない可能性があり、がん患者由来がん組織を直接免疫不全マウスに移植し腫瘍を再現するPDXモデル (患者腫瘍組織移植:Patient derived xenograft)の利用が推進されている。しかし、PDXの樹立・品質保証・維持等には多額の費用が必要となり、またモデル作成に時間がかかる点からいまだ一般的な方法とはなっていない。 CAMアッセイ(鶏卵漿尿膜法:chorioallantoic membrane assay)とは、有精卵の胚をとり囲んでいるCAM上にヒトの癌細胞を植えつけ、腫瘍の成長を観察する方法である。今回我々はこのCAMアッセイを用い、希少癌、小児癌である横紋筋肉腫(RMS)のプレシジョン医療のためのモデルを作成することを目的に、ルシフェラーゼ遺伝子導入ヒトRMS細胞株をCAMに接種、条件設定の検討、組織学的検討を行った。さらに実体顕微鏡、およびIVISシステムを用い、腫瘍サイズ、ルシフェラーゼ活性の継時的変化を測定した。現在のところCAM上でのRMS細胞株の増殖、3次元的組織の構築、さらに抗がん剤評価のモデルとなることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の実験計画では次の3点を解明すること目的としている。(1)CAM assayの確立。(2)CAM assayを用いた抗腫瘍薬評価方法の検討。(3) CAM assayを用いたPDXモデルの作成。(1)、(2)についてはおおむね計画通りにすすんでいる。(3)はマウスRMSモデル腫瘍をCAM上に移植する予備実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
我が国におけるに横紋筋肉腫を含む小児固形がんに対する化学療法は、成人癌と比べいまだ非特異的な抗がん剤治療が主であり、多くのプロトコールが副作用とdose intensityによって決まっている。横紋筋肉腫細胞を用いたCAM assayモデル作成の基礎的検討は、特異的な分子標的薬によるプレシジョン医療の開発に繋がり、難治性小児がんの新しい治療薬・治療方法の開発に飛躍的な成果をもたらすと期待できる。上記計画(3)CAM assayを用いたPDXモデルの作成の基礎的検討として、マウスRMSモデルからのCAM assayを行い、さらに臨床検体も用いたいと考えている。
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