• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

間葉系幹細胞由来エクソソーム羊水腔投与による横隔膜ヘルニアに対する胎児治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K08188
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

古川 泰三  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20515291)

研究分担者 松田 修  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00271164)
岸田 綱郎  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00370205)
東 真弓  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10380453)
馬庭 淳之介  国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (20847222)
坂井 宏平  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30515292)
田尻 達郎  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80304806)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード間葉系幹細胞 / エクソソーム / 先天性横隔膜ヘルニア / 羊水腔投与 / ラット
研究実績の概要

先天性横隔膜ヘルニア(CDH)には近年,新生児呼吸管理の進歩より救命率は目覚ましく改善している.一方、極度の肺低形を伴う最重症例においては根治手術に到達以前に失っている現状があり,胎児期における肺成熟を促す治療方法が希求されている.我々はこれまでにCDHに対する新規胎児治療の開発に向け,ニトロフェンCDHモデルラットを用いて間葉系幹細胞(MSC)を羊水腔投与することにより,CDH胎仔において肺成熟が促されることを報告した.次の段階として, MSCの作用機序を解明するためMSCが分泌するエクソソーム(MSC-エクソソーム)の効果を検討する.また,MSC-エクソソームに含有されている代表的なgrowth factorの肺成熟に与える影響を比較検討し, MSCが肺成熟を促すメカニズムの解明を目指す.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コラーゲン膜の表面または裏面にMSC 10,000/平方センチメートル播種し,MSC培養培地で一晩培養する.培地を無血清のDMEM/F-12培地に入れ替え,正常妊娠SDラットまたはニトロフェン投与妊娠SDラットより胎生13.5日目または胎生14.5日目胎仔を摘出し,胎仔より肺芽を採取して,コラーゲン膜上で気液界面培養を72時間行った.24時間毎に肺芽の状態を評価し,凍結保存する.MSCがない培養群をControl群,MSCと接着した状態の培養群をCo-culture群,MSCと非接触状態の培養群をSeparate-culture群とした.組織学的評価として肺芽の表面積と終末肺芽数の増加率を比較検討した.正常妊娠SDラット胎仔(胎生13.5日目または胎生14.5日目)由来の肺芽培養ではContorol群とCo-culture群より摘出した肺芽の培養では表面積の増加率で有意差を認めたが,Separate-culture群に関しては有意差を認めなかった.ニトロフェン投与妊娠SDラットに関しても並行して同様の実験系を行い,評価を行なったが,有意な結果は得られなかった.先行論文よりMSC培養上清を用いた肺芽培養で成長率の増加を報告していることから,培養法の再検討が必要考えられる.

今後の研究の推進方策

肺芽培養の検討内容としては,MSCの培養条件の改善を検討している.MSC-エクソソームによる肺芽成長への影響を検討するため,肺芽培養時に無血清培地に入れ替えていたが,無血清培地ではMSCの生存には過酷な条件であることから血清を含む培地への変更を検討している.また,肺芽培養する前にMSCを数日培養することで培地中MSC-エクソソームの濃度に差ができ,肺芽成長に影響を及ぼす可能性があることを考慮して最適培養日数を検討している.
組織学的評価で有意差を得られる培養条件を決定した後,培養肺芽中のgrowth factor(FGF-10,FGF-9,Wnt7b,BMP4,SHH ,VEGF-α)の発現をRT-PCRで評価する.また,Western BlottingやELISA法により肺芽培養の培養上清中のMSC-エクソソームのgrowth factorのタンパク解析検討している.

次年度使用額が生じた理由

separate-culture群で有意差を認めなかったため,その検証をするため培養肺芽中のgrowth factorを調べる工程に進めず,FGF-10,FGF-9,Wnt7b,BMP4,SHH ,VEGF-αの抗体を購入することがなかったため消耗品の使用量が少なくなった.しかし,令和3年度はこれら増殖因子の抗体を大量に購入する必要があり当初の予定より消耗品が増加する見込みである

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Maldevelopment of intrapulmonary bronchial cartilage in congenital diaphragmatic hernia2020

    • 著者名/発表者名
      Tando So、Sakai Kohei、Takayama Shohei、Fukunaga Kenji、Higashi Mayumi、Fumino Shigehisa、Aoi Shigeyoshi、Furukawa Taizo、Tajiri Tatsuro、Ogi Hiroshi、Itoh Kyoko
    • 雑誌名

      Pediatric Pulmonology

      巻: 55 ページ: 1771~1780

    • DOI

      10.1002/ppul.24799

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Tension gastrothoraxをきたした遅発性横隔膜ヘルニア3例の検討2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木 健斗、文野 誠久、古川 泰三、竹内 雄毅、竹本 正和、坂井 宏平、東 真弓、青井 重善、田尻 達郎
    • 雑誌名

      日本小児外科学会雑誌

      巻: 56 ページ: 1123~1127

    • DOI

      10.11164/jjsps.56.7_1123

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Optimal timing of surgery in infants with prenatally diagnosed isolated left-sided congenital diaphragmatic hernia: a multicenter, cohort study in Japan2020

    • 著者名/発表者名
      Yamoto M, Ohfuji S, Urushihara N, Terui K, Nagata K, Taguchi T, Hayakawa M, Amari S, Masumoto K, Okazaki T, Inamura N, Toyoshima K, Uchida K, Furukawa T, Okawada M, Yokoi A, Kanamori Y, Usui N, Tazuke Y, Saka R, Okuyama H
    • 雑誌名

      Surgery Today

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00595-020-02156-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Risk factors for pneumothorax associated with isolated congenital diaphragmatic hernia: results of a Japanese multicenter study2020

    • 著者名/発表者名
      Masahata Kazunori、Usui Noriaki、Nagata Kouji、Terui Keita、Hayakawa Masahiro、Amari Shoichiro、Masumoto Kouji、Okazaki Tadaharu、Inamura Noboru、Urushihara Naoto、Toyoshima Katsuaki、Uchida Keiichi、Furukawa Taizo、Okawada Manabu、Yokoi Akiko、Okuyama Hiroomi、Taguchi Tomoaki
    • 雑誌名

      Pediatric Surgery International

      巻: 36 ページ: 669~677

    • DOI

      10.1007/s00383-020-04659-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Prognosis of conventional vs. high-frequency ventilation for congenital diaphragmatic hernia: a retrospective cohort study2020

    • 著者名/発表者名
      Fuyuki M, Usui N, Taguchi T, Hayakawa M, Masumoto K, Kanamori Y, Amari S, Yamoto M, Urushihara N, Inamura N, Yokoi A, Okawada M, Okazaki T, Toyoshima K, Furukawa T, Terui K, Ohfuji S, Tazuke Y, Uchida K, Okuyama H
    • 雑誌名

      Journal of Perinatology

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41372-020-00833-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 先天性横隔膜ヘルニアラットモデルを用いた間葉系幹細胞羊水腔投与による胎児治療研究.2020

    • 著者名/発表者名
      髙山勝平,坂井宏平,東 真弓,文野誠久,青井重善,古川泰三,岸田綱郎,松田 修,田尻達郎
    • 学会等名
      第 120 回日本外科学会定期学術集会,

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi