研究課題
川崎病(KD)の主要症状は、レンサ球菌であるStretococcus pyogenes (GAS) 感染の症状に類似するが、KD患児から基本的にはGASは分離されないので、口腔・咽頭・腸管に存在し、今まで病原性を想定してこなかったレンサ球菌に本来GASが保有するスーパー抗原(SAg)遺伝子が水平伝播している可能性を想定し、そのGAS由来のSAg遺伝子を保有するレンサ球菌を同定し、その細菌種とSAgのKD発症への関与を解明することが、本研究の目的である。川崎病の診断で入院した患児から主に咽頭ぬぐい液を採取し、増菌培養してtotal DNAを抽出し、GASスーパー抗原の一つであるSPE-G遺伝子断片の有無をPCRで検討した。初年度(R2.4.~R3.3.)に32例、2年目(R3.4.~R4.3.)に12例、最終年度(R4.4~R5.3.)は7例の新規KD症例の咽頭ぬぐい液を用い、増菌培養を行い、SPE-G遺伝子断片について検討した。結果は初年度は32例中4例、2年目は12例中4例にPCR反応陽性を認めたが、最終年度は7例はすべて陰性であった。3年間合計51例中8例(15.7%)にSPE-G遺伝子断片陽性反応を得た。これらの8例の咽頭培養からGASは検出されないことは確認できており、SPE-G遺伝子断片は、GAS以外のレンサ球菌由来と考えている。研究2年目、3年目において上記PCRでSPE-G遺伝子断片陽性であった8例中3例の増菌培養液中の細菌を、血液寒天培地に播き、SRE-G陽性菌の単クローン分離を行い、その単クローン菌のDNAを用いて、次世代シークーエンサーで菌種同定作業を実施した。Streptococcus X, Streptococcus Y, Staphylococcus Xの3菌種が候補となった。しかし、最終年度の検討でも、まだ最終確定するに至っていない。
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