研究課題/領域番号 |
20K08196
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
宮原 弘明 愛知医科大学, 付置研究所, 准教授 (00457615)
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研究分担者 |
吉田 眞理 愛知医科大学, 付置研究所, 特命研究教授 (60288545)
岩崎 靖 愛知医科大学, 付置研究所, 教授 (60378172)
井原 健二 大分大学, 医学部, 教授 (80294932)
井上 真紀 大分大学, 医学部, 助教 (20726913)
関口 和人 大分大学, 医学部, 助教 (40437926)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ミトコンドリア病 / ヘテロプラスミー / 脳卒中様エピソード |
研究実績の概要 |
脳卒中様発作と乳酸アシドーシスを伴うミトコンドリア脳症(MELAS)は脳卒中様発作を反復し脳の機能が損なわれていくミトコンドリア脳症である。MELASはミトコンドリアDNAの点変異(A3243Gが最多)が原因であり母系遺伝の形式をとることが多い。患児の細胞の中は正常と異常なミトコンドリアが混在する“ヘテロプラスミー”という状態であり、異常ミトコンドリアの割合が増すことによって電子伝達系の働きが障害され、ATP産生がうまくいかず、ミトコンドリアからのエネルギ―供給に依存する臓器(脳・筋肉・心臓)が障害される病態が推測されている。 申請者は脳細胞内の異常ミトコンドリアの割合が増加することで脳卒中様発作の発生リスクが高まると仮説を立て、脳の各部位における遺伝子変異率や電子伝達系を評価することで、脳卒中様発作の発生メカニズムの解明を目指している。 具体的にははA3243G変異を有するMELAS8例を対象として、脳の部位ごとの①脳卒中様発作の 病理学的な出現頻度、②ミトコンドリア遺伝子変異率、③ガスクロマトグラフィー質量分析を用いたメタボローム解析、④タンパク電気泳動を用いた電子伝達系のサブユニットの解析、⑤タンパク電気泳動を用いたミトコンドリア病関連バイオマーカー(FGF21やGDF15)の解析、を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①脳卒中様発作の病理学的な出現頻度:50%程度の解析が完了 ②ミトコンドリア遺伝子変異率:全例でDNA抽出が完了し20%程度の解析が完了 ③ガスクロマトグラフィー質量分析を用いたメタボローム解析:全例で代謝産物の測定が終了 ④タンパク電気泳動を用いた電子伝達系のサブユニットの解析:全例でタンパク抽出が完了 ⑤タンパク電気泳動を用いたミトコンドリア病関連バイオマーカー(FGF21やGDF15)の解析:全例でタンパク抽出が完了 という状態であり、概ね計画通りに遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は遺伝子変異の解析とタンパク電気泳動を用いたサブユニットやバイオマーカーの解析を中心に研究を進めていく予定とし、次年度中には脳卒中様発作の発生に関わるkey moleculeの同定を目指している。現段階では研究を遂行する上での大きな障害はなく、特別な対応策は必要ないと判断している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が順調に進んだため、当初購入を予定していた物品のうち購入の必要がなくなった消耗品が発生したため、差額が生じた。この差額に関しては将来的な論文校正費用などに充てることを考えている。
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