研究課題
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、日本においても非常に頻度が高い遺伝性運動ニューロン病である。これまで臨床診断が困難で、治療法もないことから、誤診例、診断遅延例、未診断例が多かった。最近、アンチセンス製剤、遺伝子導入ベクター製剤等の有効な薬剤が開発され、治験に参加したSMA患者の生命予後と運動予後は有意に改善した。今後、すべてのSMA患者にこのような有効な治療法を提供するためには、正確で、迅速な診断システムが必要である。本プロジェクトの目的は、新鮮血あるいは乾燥濾紙血を用いて、SMAの分子遺伝学的診断検査体系(以下、SMA検査と略す)を構築することである。最終年度以前(1)新規SMN1遺伝子欠失スクリーニング法の開発 乾燥濾紙血を用いた新規スクリーニング法を開発した。本法は、SMN1遺伝子とCFTR遺伝子を同時に増幅し、増幅産物の融解曲線解析においてSMN1遺伝子の欠失を検出しようとするものである。(2)新規SMN1遺伝子欠失スクリーニング法の開発 乾燥濾紙唾液を用いた新規スクリーニング法を開発した。本法は、SMN1遺伝子とCFTR遺伝子を同時に増幅し、増幅産物の融解曲線解析においてSMN1遺伝子の欠失を検出しようとするものである。(3)SMN1遺伝子内変異を有するミニジーンを作成し、それを用いて細胞実験を行った。変異を有するミニジーンから作られたタンパク質の安定性、内在性SMNタンパク質との親和性を調べて、変異の種類と臨床症状との関連を検討した。最終年度(1) 2021年度より神戸市・兵庫県(研究者が居住し、研究活動を行っている地域)において、SMAの新生児スクリ―ニング(SMA-NBS)が始まった。研究者は、SMA-NBSで偽陽性が生じる原因を解明し、それが新生児疾患の治療で用いられたヘパリンと関連していることを明らかにした。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件)
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