研究課題/領域番号 |
20K08202
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
中根 貴弥 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (90422683)
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研究分担者 |
矢ヶ崎 英晃 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任講師 (00377540)
成澤 宏宗 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (70808013) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | p53 |
研究実績の概要 |
今回私たちは、p53のCTD欠失ヘテロ変異は重症骨髄不全の原因となりうるかをたしかめるために、マウスおよび培養細胞系で実験をおこなった。 マウスについて遺伝子編集技術を用いた実験を行い、以下の点を明らかにした。CTDLとCTDLplusのcompound heterozygotesでは、出生時・後の成長障害、早期死亡、重症骨髄機能不全、色素沈着亢進など重度のp53活性亢進に合致する症状が得られた。今回の実験結果は、CTDの欠失の範囲による、p53機能亢進の違いがあるだけではなく、TD付近まで欠失させた場合には、それ自身はp53活性はむしろ低下するが、ほかのCTDLとcompound heterozygotesになった場合には、全体としてp53活性が高まるユニークなものも存在することを示唆する。 培養細胞について、以下の実験を行った。慢性白血病細胞の樹立細胞株で、p53が発現していないK562細胞(ヘミン添加により赤血球様細胞に分化する特徴を有している)に外部から遺伝子を導入する方法で野生型p53および部分的CTD欠失p53を発現させ、その後継代培養し、p53下流遺伝子の発現の変化、紫外線照射によるアポトーシス促進、およびヘミン添加による赤血球様細胞分化を調べた。 CTD欠失p53を導入したK562細胞では、野生型p53を導入したK562細胞と比較して、p53下流遺伝子の内、proapoptic genesの発現が低下していた。このことは、CTD欠失p53の発現のほうが、野生型p53の発現よりも生存に不利であることを示唆した。 一方、CTD欠失p53を導入したK562細胞では、野生型p53導入と比較して紫外線照射によるアポトーシス促進とヘミン添加による赤血球様細胞分化が劣っており、この結果はp53下流遺伝子のproapoptic genesの発現低下とp53蛋白自体の機能の違いの両者を組み合わせた結果を反映していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に経過している
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究で得られたCTD部分欠失p53を用いたp53欠失腫瘍の治療方法の検討。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験開始前の予想と異なる実験結果が得られたため(CTD完全欠失p53のホモ体は無症状であるのに、CTD完全欠失p53とCTD部分欠失p53のcompound heterozygotesで、重篤な症状があった)、いくつかの実験の進行を考え直し、追加の実験を検討したため。
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