自閉症は、コミュニケーション障害・社会性の障害・常同行動といった中核症状のほかに、感覚過敏など感覚処理の問題がしばしば合併する。本研究では、ヒト自閉症における嗅覚過敏の病態解明と自閉症児のQOL向上を目指し、自閉症モデルラットを用いて嗅覚刺激に対する嗅覚神経系の生理学的・形態学的解析を行った。 新生仔ラットにおける嗅覚系行動実験(Nest-seeking test)を行い、自閉症モデルラットでは嗅覚に対する感受性が高いことが示された。成獣ラットでは4種類の匂い物質のうち、1,8-シネオールに対して自閉症モデルラットの後梨状皮質におけるc-fos陽性細胞の増加が認められた。
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