研究課題/領域番号 |
20K08213
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
生田 和史 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (60512184)
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研究分担者 |
石岡 賢 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50305356)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サイトメガロウイルス / 先天性感染 |
研究実績の概要 |
サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus, CMV)は多くの成人に不顕性感染している反面、胎内感染の病原体でもある。妊娠中のCMV感染は高率に先天感染を引き起こす。死産や流産の原因であるほか、全出産の約0.3%ではCMV感染が認められ、そのうち約30%は黄疸、肝脾腫、脳内石灰化や聴覚障害等を伴う顕性感染である。胎内におけるCMV感染の詳細は不明である。胎盤環境がCMV感染に及ぼす影響を検討し、先天感染の詳細機構を明らかにすることが本研究の目的である。 ヒト第19番染色体に存在する約100kbpのマイクロRNA cluster(C19MC)に着目した。C19MCは霊長類の胎盤で特異的に高発現する46個のmicroRNAをコードしており、抗ウイルス機構に関与することが報告されている。C19MC bacterial artificial chromosome(BAC)を導入した細胞にCMV(AD169株またはTowne株)を感染させ、C19MCの有無による感染効率を比較した。 昨年度までにC19MC導入細胞において、胎盤特異的マイクロRNAの高発現を確認した。CMVを感染させ、C19MCによるウイルス感染亢進を確認した。CMV前初期遺伝子(Immediate Early, IE)発現量、IE陽性細胞数、感染細胞から生じるウイルス量はC19MC BAC導入細胞で顕著に増大することを確認した。C19MC BAC導入細胞ではCMV受容体の発現変動は認められず、ウイルス吸着量にも変化は認められなかった。 C19MCによるCMV IEの発現増強が、転写レベルで起こっていることを証明した。その誘因となる宿主側遺伝子の候補を見出し、確認実験を遂行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はほぼ計画通りに進んでいる。 しかし本研究成果を投稿するにあたり再現性確認などの追加実験が必要であるため、研究期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により、胎盤由来マイクロRNAによるウイルス感染亢進という新たな現象を見出すことが出来た。延長した最終年度で再現性確認と論文投稿を行い、研究成果を欧文学術誌で公表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度にコロナウイルス感染症対策として研究施設等への立ち入り制限があり、学会等も中止や延期、オンライン開催となった。これらの影響で次年度使用額が生じている。本研究成果を公表するために再現性確認などの追加実験を行い、欧文学術誌へ投稿予定である。
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