研究課題/領域番号 |
20K08219
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
池住 洋平 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (70361897)
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研究分担者 |
長尾 静子 藤田医科大学, 疾患モデル教育研究サポートセンター, 教授 (20183527)
熊谷 直憲 藤田医科大学, 医学部, 講師 (40400329)
山田 剛史 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90601922)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 慢性糸球体腎炎 / M2型活性化マクロファージ / 間質線維化 |
研究実績の概要 |
「小児慢性腎臓病(CKD)進展に関与するM2型マクロファージ制御法の確立」を目的とした研究の中で、これまでにヒト単球由来マクロファージを用いた培養系において、ステロイドを添加して誘導したM2型マクロファージの発現する遺伝子をDNAマイクロアレイ法を用いて網羅的に解析し、腎組織の慢性病変形成に関わる候補因子(FGF8, FGF12, CTGFなど)を抽出した。 一方、臨床的に最も頻度の高い慢性糸球体腎炎であるIgA腎症の治療として、本邦の診療ガイドラインに記載されている免疫抑制薬ミゾリビンが、M2型活性化マクロファージを介した慢性病変の進展を抑制する可能性を見出した。また、上述の培養系にミゾリビンを加え得た解析結果から、ミゾリビンが、M2マクロファージのステロイド薬で誘導される免疫活性化分子CD300eの発現を抑制し、M2型活性化マクロファージの寿命を短縮することにより慢性病変形成を防ぐという分子機序を見出しこれらについて現在論文投稿中である。 現在、慢性腎病変、特にCD163陽性のM2型活性化マクロファージを介した腎尿細管間質の線維化機序について、PhenoCycler(旧名CODEX)システムを用いた組織中のマクロファージ機能解析に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性糸球体腎炎における慢性腎病変の進展機序について、腎尿細管間質線維化の程度と強く相関するCD163陽性M2型活性化マクロファージの機能を解析する手段(PhenoCycler(旧名CODEX)システム)の発見とこれにかかる物品の準備にやや時間を要したが、ようやくほぼ物品が揃っており、概ね予定通り研究を遂行可能な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
病理組織上、腎尿細管間質線維化の程度と強く相関するCD163陽性M2型活性化マクロファージの機能を、PhenoCycler(旧名CODEX)システムにより解析を進める。これにより、組織上のCD163陽性マクロファージと腎間質線維化との相互関係を明らかにし、すでに培養系を用いた解析結果から得られている線維化促進の候補分子と合わせて、慢性病変形成機序と慢性病変進展制御のターゲット分子を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度内に購入手続きを完了した消耗品について、海外からよ発送の遅れにより年度内の調達が不可能となったため次年度への持ち越し額が生じた。すでに購入手配完了であり、到着次第研究計画に沿って使用予定である。
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