研究課題/領域番号 |
20K08220
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
上田 博子 愛知医科大学, 医学部, 助教 (60528959)
|
研究分担者 |
垣田 博樹 愛知医科大学, 医学部, 講師 (40528949)
山田 恭聖 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60405165)
青山 峰芳 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (70363918)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 脳室周囲白質軟化症 / グリア / 副腎不全 / 晩期循環不全 |
研究実績の概要 |
脳室周囲白質軟化症(PVL)は早産児に発症し、将来の脳性麻痺や発達障害を引き起こす重篤な疾患である。PVLの発症は感染、炎症、低酸素虚血状態などによる局所的な軸索の脱髄が原因である。申請者らはこれまでにPVLを高率に合併する晩期循環不全(LCC)を発症する早産児では、副腎不全による内因性ステロイド不足が潜在することを明らかにした。またPVLモデルにおいて、グリアが疾患の増悪や神経保護において、多面的かつ主体的に関与していることを明らかにしてきた。これらの研究成果からステロイドがグリアに及ぼす影響に着目し、PVL発症メカニズムを解明する。特にこの内因性のステロイド不足が、脳虚血の前段階として、脳室周囲白質のオリゴデンドロサイトの虚血に対する脆弱性に関わっている可能性を検証した。 <方法>哺乳3日齢のラットの腹腔内にコルチコステロンの合成阻害剤であるメチラポンとアミノグルテチミドを投与し、LCCモデルラットを作成し、経時的に血清ナトリウム測定とcorticotropin releasing hormone (CRH)負荷試験を行った。さらに5%の低酸素負荷を行い、白質の障害について検討した。 <結果>LCCモデルでは、コルチコステロン合成阻害剤投与2時間後で有意に血清ナトリウム値は低下したが、24時間後には回復した。CRH負荷試験ではLCC群はコルチコステロンの誘導はみられなかった。5%の低酸素負荷によりLCC群はコントロール群に比べて有意に転倒回数が多く、脳室周囲のTUNEL陽性細胞は多かった。 <考察>LCCモデルラットでは一過性副腎不全を呈すことが明らかになり、マイルドな低酸素負荷で白質障害が誘導されることが明らかになった。今後はさらに白質障害のメカニズム、治療法について検討していく予定である。
|