研究課題/領域番号 |
20K08224
|
研究機関 | 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 |
研究代表者 |
中山 敦雄 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 部長 (50227964)
|
研究分担者 |
松木 亨 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 主任研究員 (90332329)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | Mecp2 / レット症候群 / 遺伝子治療 / オリゴデンドロサイト / AAVベクター |
研究実績の概要 |
レット症候群遺伝子治療の実現に向けて、miRNA補充によりモデル動物であるMecp2ノックアウト(KO)マウスを用いた動物実験を計画した。予備実験としてまずMecp2KOマウス(Mecp2-/y)にMecp2プロモーターで駆動されるMecp2発現ベクターの導入を行なったが、治療効果は見られず生後8週程度で全てのマウスが死に絶える状態であった。 このため当初の計画を修正し、Mecp2KOマウスの寿命を伸ばすためにMecp2発現を制御する適切なプロモーターを検討することとした。我々はこのモデルマウスが神経所見を示さずに生後8週程度で死亡することと、これまでのオリゴデンドロサイトでのMecp2の重要性を示した論文(Nguyen et al, J Neurosci 2013、Sharma et al, J Mol Neurosci 2015)に着目し、オリゴデンドロサイトを標的とした遺伝子治療ベクターを構築し、その有用性を検討した。 令和4年度は引き続き、この遺伝子治療によるKOマウスの寿命延長効果の検討を進めた。CNPプロモーターによりMecp2をオリゴデンドロサイト特異的に発現させるアデノ随伴ウイルスベクターを眼窩静脈から全身性に投与し、生後15週まで寿命を延長させることができた。このベクターは大量に投与してもこれまで副反応は認めていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで文献で報告されている以上にMecpKOマウスの寿命が短く、また繁殖も困難であること。さらにこれに起因して当初の実験計画を修正したため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長し、実験対象マウス例の蓄積を進める。Mecp2KOマウスは継代により脆弱性が増してくることがあるため、必要に応じてジャクソンラボから新しい精子ストックの購入を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子治療の効果としてマウスの寿命延長を目安としたため、当初の3ヵ年の計画よりも長い時間を要することとなった。また、モデルマウスの繁殖能力の低さから実験に必要な匹数がなかなか得られないためより長期間での研究が必要となった。
|