インターロイキン(IL)-18はIL-1ファミリーに属する炎症性サイトカインで、様々な炎症性疾患で上昇する。インフラマゾームの活性化に伴い、前駆体であるpro-IL-18が活性型カスパーゼ1によって切断され産生される。特に全身型若年性特発性関節炎(sJIA)などのリウマチ性疾患、XIAP欠損症などの原発性免疫不全症、NLRC4異常症などの自己炎症性疾患で血中IL-18が異常高値を示すことが知られる。一方、血球貪食性リンパ組織球症や家族性地中海熱などでは血中IL-18は、中等度の上昇に留まることが多い。本研究では血中IL-18等から様々な疾患の病態について評価した。当初検討した家族性地中海熱では、MEFV遺伝子のエキソン10変異に加えてエキソン2バリアントを有する場合に典型的な症状を示し、血中IL-18の値も有意に高値となることを明らかにした。昨年度検討した小児COVID-19関連小児多系統炎症性症候群(MIS-C)では、IL-18の上昇はsJIAに比較すると低いものの、川崎病に比べると有意に高値を示すことを明らかにした。本年度はIL-18以外のサイトカインやケモカインについて広く検討した。IL-18はIFN-γ誘導因子として発見されたサイトカインであるが、sJIAでは特にマクロファージ活性化症候群合併時にIFN-γが高値を示していた。MIS-Cでは川崎病に比べIFN-γやネオプテリンが有意に高値を示した。sJIAはしばしば川崎病と鑑別を要し、川崎病とMIS-Cでは一部症状が類似している。本研究により、血中IL-18が様々な炎症性疾患において臨床上の重要な指標になることが示された。
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