研究課題/領域番号 |
20K08240
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
熊谷 直憲 藤田医科大学, 医学部, 講師 (40400329)
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研究分担者 |
近藤 朋実 藤田医科大学, 医学部, 助教 (00866428)
池住 洋平 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (70361897)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 家族性ネフローゼ症候群 / IL1-RAP / 不死化糸球体上皮細胞 / 株化リンパ球細胞 |
研究実績の概要 |
COVID19の流行が本研究計画の遂行に大きな影響をもたらした。患者の受診抑制のため必要な臨床検体の十分な提供を受けることができず、また実験機器の更新や必要なテクニカルサポートが受けられず、実験の進捗が予定より大幅に遅れている。 当初使用予定であった不死化糸球体上皮細胞が入手困難となったため、新規の不死化糸球体上皮細胞を入手し使用することとした。同細胞は研究に用いられた実績に乏しいため、まず糸球体上皮細胞として実験に用いるに十分な形質を備えているかを検証するために、NEPHRINやPODOCALYXINなどの糸球体上皮細胞に特徴的な蛋白質の発現が認められるかを検証した。さらに、本研究計画で機能解析を行う予定のIL-1RAPやIL-1、IL-33、IL-36のそれぞれの受容体の発現が認められるか検証した。さらに遺伝子編集技術を用いて、IL1-RAPのノックアウトおよび家族性ネフローゼ症候群家系で同定されたIL1-RAP変異の導入を、不死化糸球体上皮細胞および株化リンパ球を対象に試みた。しかしながら遺伝子編集で使用予定であったセルソーターは更新ができずまたテクニカルサポートが受けらなかったため使用困難となり、遺伝子編集が適切に行われ十分に精製された細胞集団の樹立には至っていない。 本年度に予定していたネフローゼ症候群における血液中のMDSCの同定においては、患者の受診抑制により十分な検体の提供を受けることができず、また使用予定であったセルソーターが上記の通り使用困難となったため、同研究は実施できなかった。 本年度は、当初の研究計画では各種細胞を用いたIL1-RAP変異の影響やネフローゼ症候群における血液中のMDSCの同定やその機能解析を行い、研究成果として発表する予定であった。しかしながら予定通りには研究が行えず、研究成果の発表には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID19の流行が本研究計画の遂行に大きな影響をもたらした。 患者の受診抑制のた必要な臨床検体の提供を受けることができず、また実験機器の更新や必要なテクニカルサポートが受けられなかったため当初の予定通りに実験を進められず、研究計画の進捗が予定より大幅に遅れている。 また、国内の移動制限や海外への渡航制限などのため、予定していた各種学会がWEB開催に変更され学会内容も大幅に変更されたため、本研究計画に関連する最新の情報収集も予定通りに十分には行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、セルソーターの更新やテクニカルサポートが行われる予定となっており、セルソーターが使用可能となる予定である。 不死化糸球体上皮細胞や株化リンパ球細胞の遺伝子編集を進めており、遺伝子編集が適切に行われ十分に精製された細胞集団を樹立可能な環境になる予定である。IL1-RAP変異導入やIL-1RAPをノックアウトした不死化糸球体上皮細胞や株化リンパ球細胞を用いてIL1-RAP変異によるIL-1、IL-33、IL-36のそれぞれの受容体の機能変化の解析を行う予定である。また、患者受診抑制が緩和されたのちには必要な臨床検体の提供を受け、ネフローゼ症候群患者の血液中のMDSCをセルソーターを使用して同定・単離し、ネフローゼ症候群との関連を解析する予定である。 患者受診抑制が緩和されなかった場合には研究計画を見直し、不死化糸球体上皮細胞の実験から得られる結果を保存されている腎生検検体で検証することのみを先行し単独で行うこととする。本来であれば、血液中からMDSCを同定した後にMDSCと糸球体上皮細胞障害の関連を腎生検検体を用いて統合的に検討することにより効率的かつ適切な研究結果が得られるが、研究環境からは変更も止むを得ないと想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の流行が本研究計画の遂行に大きな影響をもたらし、結果として次年度使用額が生じた。 患者の受診抑制のた必要な臨床検体の提供を受けることができず、また実験機器の更新や必要なテクニカルサポートが受けられなかったため当初予定していた研究計画どおりには研究が行えなず、当初の予定よりも研究費の使用が少なかった区分が生じた。不死化糸球体上皮細胞は、新規の細胞を使用するための購入費や細胞の形質を検証するための研究費が必要となり、当初の予定よりも多くの研究費が必要であった。国内の移動制限、海外渡航の制限もあり、参加を予定していた各種学会はいずれもWEB開催となり、学会参加費なども実際の使用額は当初の研究計画よりも大幅に減少した。 以上の結果として、総額としては当初の研究計画で予定した研究費に比べ使用額が減少し、次年度使用額が生じた。
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