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2023 年度 実施状況報告書

MYRF遺伝子を起点とした発熱時言動異常の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08241
研究機関愛知医科大学

研究代表者

倉橋 宏和  愛知医科大学, 医学部, 講師 (30621817)

研究分担者 岡田 洋平  愛知医科大学, 医学部, 准教授 (30383714)
奥村 彰久  愛知医科大学, 医学部, 教授 (60303624)
荻 朋男  名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードMYRF / 可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症 / ミクログリア / ミエリン / オリゴデンドロサイト
研究実績の概要

MERS(可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症)は、発熱に伴い異常言動を呈する急性脳症である。急性期の頭部MRIで脳梁膨大部に異常信号を呈することが特徴で、大脳白質の主要な構成要素であるミエリンの障害が示唆されている。我々は、2家系のMERS-異常言動スペクトラム家族例においてMYRF遺伝子変異を同定し、発熱時の異常言動と深く関わっている可能性を見出した。MYRFはオリゴデンデンドロサイトに発現し、ミエリン化・髄鞘維持に必要なDNA転写調節因子である。本研究の目的は、MYRF遺伝子に着目してMERS-異常言動スペクトラムの病態を解明することである。この目的を達成するために以下の研究を行なっている。1)MERS-異常言動スペクトラム症例に対する次世代シークエンス解析: MYRFにより発現が制御される遺伝子のうちミエリンに発現するものは約700あると報告されている。我々はMERS反復例・家族例を収集し、MYRF遺伝子に加えて、これらのMYRF遺伝子により発現が制御されうる遺伝子に注目してバリアントの解析を行っている。また、MERS症例だけでなく、発熱に伴う言動異常を呈した症例についても、同様の解析を行う。新規のMERS症例に対しても、MYRF遺伝子を含めた同様の解析を行う。2)iPS細胞用いた研究:MYRF遺伝子変異を伴うMERS患者由来のiPS細胞作成、および、iPS細胞からオリゴデンドロサイトへの分化をより効率的に行うための実験を行なっている。また、MYRF遺伝子変異を有する患者検体を用いてiPS細胞の樹立を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

MERS-異常言動スペクトラム症例に対する次世代シークエンス解析:MYRF遺伝子変異を認めた家系以外の症例を集積し、MERS反復例・家族例に対し次世代シークエンス解析を行った。MYRFが発現に関与している可能性のある遺伝子のバリアントに着目して解析を行った。その結果、関連遺伝子全体でのバリアントの数は対照群と差がなく、高頻度でバリアントを認める遺伝子も同定できなかったものの、バリアントを認める遺伝子の分布は対照群とは異なっていた。iPS細胞を用いた研究:オリゴデンドロサイトへの分化を短時間で効率的に行うために、至適な環境条件についての検討を行った。また、MYRF遺伝子変異を伴うMERS患者由来のiPS細胞を作成した。

今後の研究の推進方策

MERS発症の病態解明のために、MYRF遺伝子に新たに同定したミスセンスバリアントがMYRFに及ぼす影響の検討を継続する。次世代シークエンス解析について、症例の集積により、差異を明らかにしやすくなると考えられるため、今後も症例の集積を継続する。iPS細胞のオリゴデンドロサイトへの分化はさまざまな条件での分化効率の検討を継続し、その結果を、患者由来のiPS細胞からの分化誘導に応用する。

次年度使用額が生じた理由

学会参加費用、遺伝子解析に用いた費用、および細胞分離培養に用いた費用が予定を下回ったため、次年度使用額が生じた。患者検体からのiPS細胞樹立、iPS細胞を用いたオリゴデンドロサイト分化、MERS症例の遺伝子解析を継続し、過不足なく使用する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Long-term efficacy of nusinersen and its evaluation in adolescent and adult patients with spinal muscular atrophy types 1 and 22023

    • 著者名/発表者名
      Iwayama Hideyuki、Kawahara Kohei、Takagi Mizuki、Numoto Shingo、Azuma Yoshiteru、Kurahashi Hirokazu、Yasue Yumiko、Kawajiri Hiroyuki、Yanase Atsushi、Ito Teruyoshi、Kimura Shinya、Kumagai Toshiyuki、Okumura Akihisa
    • 雑誌名

      Brain and Development

      巻: 45 ページ: 110~116

    • DOI

      10.1016/j.braindev.2022.10.006

    • 査読あり
  • [学会発表] West症候群(乳児てんかん性スパズム症候群)の遺伝学的背景2023

    • 著者名/発表者名
      倉橋宏和
    • 学会等名
      第65回日本小児神経学会学術集会
  • [学会発表] 特徴的なてんかん経過をたどった、腎症状を伴わないTRIM8遺伝子変異の一例2023

    • 著者名/発表者名
      倉橋宏和、西田みずき、沼本真吾、岩山秀之、東慶輝、藤田京志、松本直通、奥村彰久
    • 学会等名
      第56回日本てんかん学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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