• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

川崎病血管炎における好中球サブセット動態の解析と重症度予測への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K08245
研究機関防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛

研究代表者

竹下 誠一郎  防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 教授 (50369542)

研究分担者 野々山 恵章  防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 教授 (40280961)
木下 学  防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 准教授 (70531391)
金井 貴志  防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 助教 (70749069)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード川崎病 / 血管炎 / 好中球サブセット
研究実績の概要

申請者らは、川崎病(Kawasaki disease, KD)急性期において、末梢血好中球は増加するとともに機能的にも活性化されてelastase等を過剰に産生して血管炎の病態に深く関与していることを報告してきた。最近では、科研費基盤研究(C)16K10082, 2016~2020年)において、KD急性期において好中球細胞外トラップ(NETs)形成(NETosis)が亢進していることを見出した(Pediatric Research, 2020, 87:998-1004;https:doi・org/10.1038/S41390-019-0710-3)。
近年、好中球にもいくつかのサブセットがあることが判明しているが、機能的には不明な点が多い。好中球サブセットマーカーとされるolfactomedine 4(OLFM4)やCD177の発現の増強や低比重好中球数の増加は、重症感染症や自己免疫疾患の予後や血管内皮細胞傷害に関連すると報告されている。そこで、本研究では「KDにおける好中球サブセットの動態を解析することによってその機能的意義を解明し、KDの重症度予測に応用する」ことを目的とする。
まず最初に、KD末梢血の好中球を分離して、OLFM4とCD177のmAbで2重染色を行った。好中球サブセットのOLFM4陽性CD177陽性細胞は、KD急性期のIVIG治療前に増加して、亜急性期のIVIG後から回復期にかけて次第に減少する傾向を示した(未発表データ)。従って、「KD急性期では好中球サブセットの分布がダイナミックに変動する」可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

川崎病(Kawasaki disease, KD)の病態におけるNETsの関与を検証するためには、KD急性期の患児の末梢血から分離した好中球をin vitroで培養し、免疫染色する必要がある。好中球の寿命は短いため採血後すぐに処理する必要があり、夜間や休日等に入院した患児からの検体を得られない場合がある。また、KD患児のほとんどは1歳前後の乳幼児であるため、1回の採血量は数mlに限られ、十分な好中球数を得られない場合も多い。当院では年間40例近いKD患児の入院があるが、新型コロナ感染拡大の影響でKD入院患児数は減少しており、現時点で得られたデータはわずか数例のみである。さらに、対照群として健常コントロール群が必要になるが、informed consentを得る必要があるため、現時点ではデータとして得られていない。
従って、1年目が終了した現在までの進捗状況は、当初の計画に比べて「遅れている」。

今後の研究の推進方策

研究自体は良好な結果が得られつつあるため、基本的な方針は今後も変更しない予定である。研究の対象患児数がなかなか集まらない現状に対する方策として、①研究グループとして、夜間や休日等に入院した患児からの検体にも対応できる体制を作る、②周辺の関連病院や医療機関に協力を呼び掛けてKDの検体を得る、③対照群である健常コントロール群のデータ数を増やすことを考えている。

次年度使用額が生じた理由

【理由】本研究に関しては、予備実験を含めて、科研費が支出される以前に予備実験を開始していた。当該年度の研究に必要な物品は既に購入していたため、物品費から支出する必要がなかった。また、研究スタッフ不足のため充分な検体数が得ることができなかったが、試薬等は前年度分を使用することができた。
【使用計画】次年度分として、物品費(好中球分離キット、モノクローナル抗体を含めた各種試薬、プラスティック器具など50万円)、旅費(国内旅費10万円)、その他(英文校正料金及び論文投稿料など10万円)を使用する予定である。また、もし適任者がいれば、研究助手を雇用することも考えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Guidelines for Medical Treatment of Acute Kawasaki Disease (2020 Revised Version).2021

    • 著者名/発表者名
      Masaru Miura, Mamoru Ayusawa, Ryuji Fukazawa, Hiromichi Hamada, Shunya Ikeda, Shuichi Ito, Takashi Kanai, Tohru Kobayashi, Hiroyuki Suzuki, Kenichiro Yamamura, Koichi Miyata, Utako Yokoyama, Fukiko Ichida, Yoshihide Mitani, Masaru Terai.
    • 雑誌名

      Journal of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

      巻: 5 ページ: 41~73

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 川崎病の今-急性期の治療 好中球エラスターゼ阻害薬2021

    • 著者名/発表者名
      金井貴志
    • 雑誌名

      小児内科

      巻: 53 ページ: 108~111

  • [雑誌論文] The combination of the neutrophil-to-lymphocyte and platelet-to-lymphocyte ratios as a novel predictor of intravenous immunoglobulin resistance in patients with Kawasaki disease: a multicenter study2020

    • 著者名/発表者名
      Kanai Takashi、Takeshita Seiichiro、Kawamura Yoichi、Kinoshita Keiji、Nakatani Keigo、Iwashima Satoru、Takizawa Yuji、Hirono Keiichi、Mori Kazuetsu、Yoshida Yusuke、Nonoyama Shigeaki
    • 雑誌名

      Heart and Vessels

      巻: 35 ページ: 1463~1472

    • DOI

      10.1007/s00380-020-01622-z

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 川崎病-診断と治療の新展開-リスク層別化の進歩2020

    • 著者名/発表者名
      金井貴志
    • 雑誌名

      Current Therapy

      巻: 38 ページ: 984~988

  • [雑誌論文] 川崎病の今-急性期の治療 好中球エラスターゼ阻害薬2020

    • 著者名/発表者名
      三浦 大, 鮎澤 衛, 伊藤 秀一, 池田 俊也, 金井 貴志, 小林 徹, 鈴木 啓之, 濱田 洋通, 深澤 隆治, 山村 健一郎, 宮田 功一, 横山 詩子, 市田 蕗子, 寺井 勝, 三谷 義英
    • 雑誌名

      Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

      巻: 36 ページ: S1~S29

  • [学会発表] サイトカインプロファイルが診断に有用であったマクロファージ活性化症候群を合併した川崎病の1例2020

    • 著者名/発表者名
      樽谷朋晃、金井貴志、高田幸成、仁紙千尋、田村義輝、大澤麻登里、竹下誠一郎、谷内江昭宏、野々山恵章.
    • 学会等名
      第56回日本小児循環器学会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi