研究課題/領域番号 |
20K08246
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
小林 しのぶ 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 社会医学研究部, 研究員 (70451721)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 免疫グロブリン+プレドニゾロン初期併用療法 / 川崎病冠動脈病変 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
本研究は、免疫グロブリン+プレドニゾロン(以下、IVIG+PSL)の初期併用療法を受けたIVIG不応リスク患者を対象に、遺伝学的情報と臨床情報を組み合わせた初期治療における新たな治療反応性予測モデルを構築することを目的に実施している。臨床情報のみならず遺伝子情報を含めることで、臨床的に使用可能でより予測精度の高い予後予測モデルを作成することを目指す。 2012年12月~2021年4月の期間における既収集検体から「IVIG+PSLの初期治療を受けたIVIG不応リスク患者」359例を抽出しコホートを作成した。このコホートのDNA試料を収集しgenotypingを終了した(なお、genotypingには、Illumina Infinium Asian Screening Arrayを用いた)。その後、Quality control (QC)基準を決め実施、QC後のgenotyping dataを用いた、ロジスティック回帰分析を用いたGWASを実施した。同時に収集した臨床情報に関してもデータクリーニングが終了し、これら臨床情報をもとにアウトカムを複数設定し(治療不応の有無、CALの有無等)GWASを行っている。今後は、GWASで得られた結果を参考にSNP genotype Imputationを慎重に進め、Imputation後のgenotyping data を用いた解析を行い、SNPの検出を行っていく。 さらに、新しく本研究のデータ基盤となっている川崎病遺伝コンソーシアムの研究体制整備を目的に、スーパーコンピューターSHIROKANEを導入した。研究者同士が収集したデータにアクセスし、情報の共有を可能にし、より正確でかつ豊富な情報を扱うことが可能になったといえる。今後はこの仕組み使い利便性の高いものに進化させ、研究の活発化にも貢献できるよう進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
QC後のgenotyping dataを用いた、ロジスティック回帰分析を用いたGWASを実施した。同時に収集した臨床情報をもとにアウトカムを複数設定し(治療不応の有無、CALの有無等)GWASを行っているが、現在のところ関連性の高いSNPsは検出されていない。研究協力者とともに今後の解析方針について、再度検討を重ね進めていく必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
「IVIG+PSLの初期治療を受けたIVIG不応リスク患者」を抽出し作成したコホートを対象に、前年度に引き続き遺伝子解析を進めるとともに、Imputationを精力的に進め、それら遺伝子解析の結果から、候補SNPの特定にあたる。新規SNPの探索は、炎症・抗炎症性経路やステロイド代謝経路など川崎病の病態・治療薬の作用機序に関連した経路に注目し解析を行う。最終的にアウトカムに関連する新規SNPを同定する。この結果を用いアウトカムを目的変数、臨床情報ならびにSNPを説明変数としてロジスティック回帰モデルを用いた多変量解析(総当たり法またはステップワイズ法)を行い、予測モデルを作成する。なお、臨床情報は、性別、月齢、治療開始病日、診断前血液検査結果(白血球数、好中球数、ヘマトクリット、血小板数、総ビリルビン、AST、ALT、Alb、Na、CRP、BNP)を想定している。 また、研究実施体制の整備にも注力し、導入したスーパーコンピューターの仕組みを用い、利便性の高いものに進化させ、研究の活発化にも貢献できるよう進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
関連学会の参加のための旅費等が発生しなかったことも次年度使用額が生じた理由である。また、支出予定であった研究資材の購入数が減少したため、次年度使用が発生した。研究の運用・体制維持に必要な経費として支出を予定している。
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