研究課題/領域番号 |
20K08249
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
金崎 里香 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60722882)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 転写因子 / ダウン症 |
研究実績の概要 |
ダウン症新生児の約10%は、未熟な巨核球が一過性に増殖する血液疾患(TAM)を発症する。TAM症例は多くが一旦寛解するものの、約20%と高率に巨核球性白血病(ML-DS)へと進展する。本研究の目的は、ML-DS移行の予防と予後の改善を目指し、ML-DS発症の分子機構を明らかにすることである。 ML-DSで高頻度に変異が検出される遺伝子の多くが、巨核球系分化に必須の転写因子GATA1と協調して機能する(またはその可能性の高い)因子である(未発表)。そこで本研究は、GATA1を中心とした遺伝子発現制御の破綻が、ML-DS発症の共通したメカニズムであるという仮説のもと、主に高頻度に変異が検出された遺伝子とGATA1との相互作用の検証を行い、白血病発症の鍵となる遺伝子発現制御の破綻機序を解明することを目的としている。 ML-DSで高頻度に変異が検出される遺伝子の一つである、ホメオボックスファミリーに属するが機能不明の転写因子IRX1は、発現誘導によってGATA1の標的遺伝子の発現増加を招くが、ゲノム上の結合モチーフは不明である。クロマチン免疫沈降シークエンス(ChIP- seq)では、ゲノム上の結合領域がほとんど検出されなかったため、IRX1は、直接DNAに結合しているのではなく、GATA1を含む他のタンパクの co-factor として転写調節に関与している可能性が考えられた。そこで、co-factorとDNAの相互作用解析に適すると言われるCUT&RUN assayを実施したが、今のところ、ゲノム上に結合ピークはほとんど検出されていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IRX1のゲノム上の結合部位の決定がうまくいかなかったため。IRX1に対する免疫沈降可能な良い抗体がないことから、CUT&RUN assayではFLAGタグ付きIRX1を発現させる実験系を使用したものの、研究が成功していないので、新たな対策が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
IRX1を発現誘導したサンプルのRNA-seqデータを解析すると、GATA1の標的遺伝子が発現上昇することが明らかで、IRX1が依然としてGATA1と協調して転写調整に関与しているものと考える。ただし、直接IRX1がゲノムに結合しておらずに、GATA1のco-factorとして不安定な複合体を形成している可能性が高まったので、CUT&RUN assayでは固定剤の使用を試みたい。また、並行してGATA1とIRX1との相互作用を示すための実験(免疫沈降、レポーターアッセイ、siRNA 導入など)も推し進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの流行に伴い、発注した製品の入荷に遅れが生じたことが理由である。ピペットチップに使用する見込みで、少額であることから今後の使用計画を見直す必要は特にないと考える。
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