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2022 年度 実施状況報告書

代謝に制御されるエピゲノムに着目した精巣形成不全症発症の分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08255
研究機関浜松医科大学

研究代表者

藤澤 泰子  浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (40402284)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード胎児期低栄養環境 / DOHaD / 精巣異形成症候群 / 男性不妊
研究実績の概要

本研究の目的は、胎生期低栄養に起因する男性生殖器系疾患発症のメカニズムを解明することである。
野生型B6マウスによる母獣摂餌制限を行い、胎児期に低栄養環境におかれたオスマウスにおいて、胎児精巣でのテストステロン低下と生後6週での精子数の減少を明らかにした。
本年度行ったことは以下である。
1. 胎仔ラディッヒ細胞への栄養制限の影響に関する研究を継続した。胎仔型ライディッヒ細胞特異的にEGFP を発現するトランスジェニックマウス(Ad4BP/SF-1-EGFPマウス)を利用し、胎生期栄養制限マウスモデルの胎仔精巣からセルソーティングによりライディッヒ細胞を単離し、全ゲノムメチル化解析を行い、さらにマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析で有意に変動を認めた遺伝子におけるメチル化パターンの解析を進めている。
2. 胎児期の低栄養環境と生後の精子数低下との関連について、精巣生殖細胞におけるアポトーシス亢進が明らかになった(TUNNEL染色陽性細胞の増加)。その背景として、酸化ストレス亢進の関与が考えられたため(遺伝子発現パターン)、酸化ストレス関連マーカーの解析等を進めている。
3. 胎児期低栄養環境による男性生殖器系疾患発症が、遺伝的背景により促進されるかどうかを検証するために、性分化疾患モデルマウスであるMamld1 KOマウスを用いた母獣摂餌制限実験を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究成果により英語論文を発表した(Intrauterine Hyponutrition Reduces Fetal Testosterone Production and Postnatal Sperm Count in the Mouse. J Endocr Soc. 15;6(4), 2022)。
さらに以下の研究を進めている。
1胎児ライディッヒ細胞のメチローム解析
2性分化モデルマウスMamld1 KOマウスを用いた母獣摂餌制限実験
3酸化ストレス増強の評価とっそのメカニズムの解明。
以上より、研究は概ね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

さらなる研究の発展のために、以下の実験準備を行っている。
1性分化疾患モデルマウスの実験の展開(Mamld1KOマウスに加えて、Ad4BPKOマウス等)
2胎児期低栄養環境とその後の生殖機能を中心とした男性生殖器系の障害のメカニズム解明のためのin vitro実験の確立。具合的には、マウス精巣を用いた精巣再構築培養系による実験系を採用し、実験を開始している。
3低栄養環境と細胞内代謝について、細胞フラックスアナライザーによる解析の導入を試みている。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者の所属研究室では、共通の実験手法を用いた研究が並行して進行しており、研究試薬、キット、消耗品等について共用できるものがあったため、計画していた使用額より少額となったため、次年度使用額が生じた。次年度は委託によるメチローム解析等への使用を計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Microdeletion at ESR1 Intron 6 (DEL_6_75504) Is a Susceptibility Factor for Cryptorchidism and Hypospadias.2023

    • 著者名/発表者名
      Masunaga Y, Fujisawa Y, Massart F, Spinelli C, Kojima Y, Mizuno K, Hayashi Y, Sasagawa I, Yoshida R, Kato F, Fukami M, Kamatani N, Saitsu H, Ogata T.
    • 雑誌名

      J Clin Endocrinol Metab.

      巻: Apr 3 ページ: 1-11

    • DOI

      10.1210/clinem/dgad187

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Intrauterine Hyponutrition Reduces Fetal Testosterone Production and Postnatal Sperm Count in the Mouse2022

    • 著者名/発表者名
      Yasuko Fujisawa 1, Hiroyuki Ono 1, Alu Konno 2, Ikuko Yao 3, Hiroaki Itoh 4, Takashi Baba 5, Kenichirou Morohashi 5, Yuko Katoh-Fukui 6, Mami Miyado 6, Maki Fukami 6, Tsutomu Ogata 1 6 7 8
    • 雑誌名

      Journal of the Endocrine Society,

      巻: Volume 6, Issue 4, ページ: 1-11

    • DOI

      10.1210/jendso/bvac022

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 子宮内低栄養はマウスの胎児期のテストステロン産生と出生後の精子数を減少させる2022

    • 著者名/発表者名
      藤澤泰子、小野裕之、紺野在、矢尾育子、伊東宏明、馬場崇、諸橋憲一郎、福井由宇子、宮戸真美、深見真紀、緒方勤
    • 学会等名
      第55回日本小児内分泌学会

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公開日: 2023-12-25  

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