研究課題/領域番号 |
20K08258
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
藤枝 幹也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (60209020)
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研究分担者 |
樋口 智紀 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 講師 (00448771)
橋田 裕美子 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (00767999)
大畑 雅典 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (50263976)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ウイルス / 炎症 / 皮下腫瘤 |
研究実績の概要 |
木村病(軟部好酸球肉芽腫症)は、頭頸部のリンパ節腫脹や皮下軟部組織に無痛性の腫瘤を形成し、慢性の経過をたどる炎症性疾患である。末梢血と組織での好酸球増多を伴い、日本人をはじめ東アジア人に多く発症し、欧米人では少ないことが特徴である。従来、木村病の発生には微生物感染によるⅠ型アレルギーの関与が推測されてきたが、原因は同定されていなかった。そこで、そこで本研究では木村病と皮膚指向性ヒトポリオーマウイルスの関連性について検討している。これまでに、木村病のパラフィン包埋組織からヒトポリオーマウイルス6型のDNAとウイルス由来抗原が高率に検出されることを見出した。これはヒトポリオーマウイルス6型が一部の木村病の発症や病態修飾に関与することを示唆するものである。 木村病と組織学的類似性を示す好酸球性血管リンパ球増殖症(angiolymphoid hyperplasia with eosinophilia; ALHE)についてもヒトポリオーマウイルス6型が検出されるかを検討した。その結果、5例中4例からヒトポリオーマウイルス6型DNAが検出され、さらに3例でウイルス由来のST(small T)抗原が検出された。 次に、日本人患者の木村病およびALHEで検出された日本人由来のヒトポリオーマウイルス6型のLT(large T)およびST遺伝子の部分領域(378 bp)について、GenBankに登録されている世界各地由来のヒトポリオーマウイルス6型配列と合わせて系統解析を行った。その結果、本研究で検出されたヒトポリオーマウイルス6型のゲノムは全て日本/アジアのクレードに属し(日本/アジア型変異株)、欧米からの検出例とは異なる遺伝子型を持つことが明らかとなった。このウイルス遺伝子型が木村病発症率の地理的相違に関与する可能性が示された。
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