研究課題/領域番号 |
20K08260
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
鳥原 英嗣 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50757218)
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研究分担者 |
仲嶺 三代美 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20381105) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ダイアモンド・ブラックファン貧血 / リボソームタンパク質 / リン酸化 / ゼブラフィッシュ / 疾患モデル |
研究実績の概要 |
Diamond-Blackfan貧血(DBA)の発症機序として現在最も有力とされるのは、リボソームタンパク質(RP)遺伝子の変異によりがん抑制遺伝子TP53の経路が活性化されるというものである。しかしこれまでに我々は、RPのリン酸化・脱リン酸化の制御も赤血球造血に関与する可能性を見出した。そこで本研究は、TP53経路以外の未知のDBA発症メカニズムについて、明らかにすることを目的とした。 本研究では、小型魚類であるゼブラフィッシュを用いて検討を行った。ゼブラフィッシュは胚が透明であるため、発生の様子を生きたまま観察することができる。また、発生が早く、受精後24時間で器官形成がほぼ終了する。これらの特徴を生かし、さらに赤血球特異的なマーカー遺伝子であるgata1のプロモーター領域にmRFPを接続した遺伝子改変ゼブラフィッシュを用いて実験を行った。その結果、RP発現抑制ゼブラフィッシュから単離した赤血球では、qPCRによって、他の組織とは異なる遺伝子発現が見られた。今後は、RPのリン酸化パターンによる遺伝子発現の変化を詳細に解析する予定である。また、これまでRPS19をリン酸化するキナーゼであるpim1のノックアウトゼブラフィッシュを作成したが、赤血球特異的な解析を行うため、gata1:mRFPゼブラフィッシュにおいてもpim1のノックアウトを進めている。この準備が出来次第、pim1ノックアウトゼブラフィッシュの赤血球を単離し、遺伝子発現およびリン酸化への影響を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RP発現抑制ゼブラフィッシュの赤血球を単離してqPCRを行う方法を確立した。興味深いことに、全体胚の比較では検出されなかった赤血球特異的な遺伝子発現の変動が見られた。rps19をリン酸化するキナーゼであるpim1についても、ゼブラフィッシュのノックアウト体を作成しており、出来次第解析を行う。リン酸化rps19の検出については、現在発生ステージ毎の検討を行っている。ゼブラフィッシュの受精卵を安定的に確保ができない時期があり、計画の遅れが心配されたが、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1.赤血球マーカーのgata1以外の遺伝子についても、gata1同様に蛍光標識したゼブラフィッシュの準備を行い、遺伝子発現パターンやRPのリン酸化の解析を行う。 2.ゼブラフィッシュのrps19遺伝子に対し、DBA患者で見られる変異を導入し、遺伝子発現パターンやRPのリン酸化の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入手続き後、実験の予定変更によって購入を中止したため生じた。2021年度に他の物品購入に対し、執行する予定である。
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