研究課題
自閉症スペクトラム障害、発達障害を有する患者において22家系、54人に対してエクソーム解析を行った。また、病因になりうる微細欠失や重複を検出するためにXHMM (eXome-Hidden Markov Model)解析をセットアップした。8例で病因が判明し(うち1例は欠失)36%、1例については病因遺伝子についての追加の機能解析を行った。さらに、2例について検出したバリアントの病因判断の解析を追加中である。発達障害、知的障害、低身長の見られる女児でGrowth association protein43(GAP43)の変異を検出した。GAP43は中枢神経に広く分布し、軸索や、シナプス前で重要な役割をなし、成長や再生に関わると考えられている。このため、GAP43は原因遺伝子の可能性があると考え機能解析を追加した。共同研究として胎児マウスの胎児期の脳へエレクトロポレーションを行い、皮質形成に対する影響を解析した。GAP43は神経細胞の突起形成障害が明らかになった。このため、知的障害、発達障害の原因と考えられ、論文を作成中である。また、知的障害、自閉症スぺ口ラム障害、重症てんかんに関連する遺伝子Dynamin 1 like(DNM1L)の新規変異を検出した。DNM1Lにミトコンドリアやペロオキシソームの分裂に関わる遺伝子である。報告自体も少なく、変異と表現形の関連についてベクターを用いてさらに解析中である。その他、DYNC1H1の変異例は自閉症スペクトラム障害、難治性てんかんがみられ、皮質形成異常を示す症例が多い中で経過がめずらしく経過等報告した。
3: やや遅れている
iPSでの解析についてはあまり進展は得られなかった。しかし、それ以外のエクソーム解析や、ベクターでの解析についてはおおむね達成できた。
更に、エクソーム解析を継続しながら、新規の遺伝子については機能解析を実施していく。また、これまで得られた解析結果の中で両親からの遺伝が疑われた例が数例存在する。それらに関して、ベクター等を用いた機能解析や、メチル化の違いなどで表現形への影響を調べていく予定である。
コロナの影響で前年度の残額等があったため残額が生じたこと、学会のオンライン開催が多く、旅費も少なかった。また、エクソーム調整キットなど高額である買うタイミングによって一度に支出するため適切に使用していく。
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Brain Dev
巻: 43 ページ: 857-862
10.1016/j.braindev.2021.05.005
Journal of Fetal Medicine
巻: 8 ページ: 151-155
10.1007/s40556-021-00304-8