研究課題/領域番号 |
20K08266
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
水野 洋介 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30406532)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 非コードRNA / マイクロRNA / エクソソーム |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアの分裂や融合、エネルギー産生能やストレス制御に関わる遺伝子の機能を欠損・抑制した細胞ではミトコンドリア機能に関わる非コードRNAの発現量にも大きな変化が生じていると考えられる。このような非コードRNAを同定するため、ヒト培養細胞を用いてDNM1L, MFN2,p32遺伝子をRNA干渉法によりノックダウン、またCRISPRシステムによりノックアウトした細胞からミトコンドリアおよびミトコンドリア内膜内成分(マイトプラスト)を分画して全RNAを抽出した。得られたミトコンドリアRNAについて発現アレイを用いてmRNA、長鎖非コードRNA、マイクロRNA(miRNA)の発現量を定量した結果、ミトコンドリア関連遺伝子の機能を抑制させた場合に、その影響を受けて発現量が変化したミトコンドリアmRNA、長鎖非コードRNA、miRNAを検出することが出来た。また、ミトコンドリアの分裂や融合に関わる遺伝子を抑制することにより、共通して発現が変動する長鎖非コードRNAやmiRNAも複数検出することが出来た。この中に、ミトコンドリア機能を制御したり影響を及ぼし、ひいてはミトコンドリア病の発症要因にもなるRNAが含まれていると考えられる。実際にミトコンドリア関連遺伝子を標的対象の候補とするマイクロRNAも含まれていた。現在は引き続きミトコンドリア機能に関連すると考えられる候補となる非コードRNAについて、ミトコンドリア関連遺伝子との相互作用をしうる塩基配列・二次構造モチーフを検索し、細胞で発現亢進もしくはノックダウン、ノックアウト実験を実施し、実際のミトコンドリア機能との関連性を調べるための検証実験を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
学内での現在の所属部署にて研究体制及び実験機器利用環境の整備を行った。また新型コロナウイルス感染対策期間が明けた後の学内各種業務および対応する学生教育にエフォートを注いだため、研究の遂行が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、昨年度までに一部遂行していた発現解析実験をより詳細に行うとともに、実際のエクソソームに含まれている非コードRNAについて発現解析を行い、エクソソームに含まれるミトコンドリア関連非コードRNAを探索すること、およびそのミトコンドリア機能への関連性の探索に注力する。特に、ミトコンドリア機能に関連すると考えられる新たな非コードRNAやマイクロRNAを実際に培養細胞にて発現亢進もしくはノックダウン、ノックアウトを行い、ミトコンドリア機能の変化を詳細に観察定量する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染対策後の所属部署の体制整備業務および学生教育が大きなエフォートを占めたため、令和5年度に予定していた多くの実験の遂行が困難であった。令和6年度は、これまでに遂行する予定だった発現解析実験を行うとともに、実際のエクソソームに含まれる非コードRNAについて発現解析を行い、エクソソームに含まれるミトコンドリア関連非コードRNAを探索することとその機能解析に注力したいと考えている。また培養細胞に候補となる非コードRNAやマイクロRNAを強制発現、もしくはノックダウン、ノックアウトを行い、細胞内のミトコンドリア機能を観察定量し、新知見としてまとめて論文発表につなげる。
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